🐙 タコ8:移動と住処 ― 岩穴・砂地・仮の家 ―

タコは、広く移動する生き物ではない。

決まった巣を持ち、その周囲で暮らし、必要なときだけ体を動かす。だが、その移動と住処の選び方は、きわめて柔軟だ。

骨を持たない体と、操作に長けた腕は、タコに「場所をつくる」自由を与えてきた。

🐙 目次

🚶 1. タコの移動 ― 這うという選択

タコの主な移動手段は、泳ぐことではなく、這うことだ。

  • 方法:腕を使って進む
  • 速度:遅いが安定
  • 利点:静かで目立たない

海底をなぞるように移動することで、周囲の状況を触覚で確認しながら進むことができる。

隠れながら動くという点で、この移動法はタコの生活に適している。

🌊 2. 泳ぐとき ― 噴射移動の役割

タコは泳げないわけではない。

  • 仕組み:外套膜から水を噴射
  • 用途:逃避・緊急時
  • 特徴:直線的で短距離

噴射移動は速いが、長くは続かない。そのため、捕食や日常移動にはあまり使われない。

この泳ぎ方は、危険から距離を取るための手段として使われている。

🪨 3. 住処の基本 ― 岩穴と隙間

タコは、決まった住処を持つことが多い。

  • 場所:岩穴・割れ目
  • 条件:狭く、奥行きがある
  • 目的:隠蔽と防御

柔らかい体を活かし、他の生き物が入れない隙間に身を収める。

住処は、休息の場であると同時に、外敵から身を守る拠点でもある。

🏺 4. 仮の家をつくる ― 物を使う行動

適切な岩穴がない場合、タコは周囲の物を利用する。

  • 利用物:貝殻・石・人工物
  • 行動:運ぶ・配置する
  • 目的:隠れ家の確保

貝殻を並べて入口をふさいだり、空き缶や壺を住処にする例も知られている。

環境にあるものを組み合わせ、その場に合わせた「家」をつくる。それが、タコの暮らし方だ。

🌙 詩的一行

決まった場所に縛られず、その場を居場所にしてきた。

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