― 消えゆくものの美しさ ―
🗂目次
🍂風情のこころ
風情とは、
形ではなく“感じ取る力”のこと。
鈴虫の声に秋を聴き、
消えていく音に美を見出す。
それは、変わりゆくものを恐れず、
その一瞬を愛する心だ。
日本人は古くから、
“終わり”をもって季節を知り、
“静けさ”をもって美を見てきた。
🌙音と無常
鈴虫の声は永く続かない。
それを知っていながら、
人は耳を澄ます。
この「いつか消える音」を聴くことに、
無常を受け入れる静かな哲学がある。
音が消えたあと、
そこに残るのは寂しさではなく、
生きていた証のような余韻だ。
💫静けさの中の美
本当の美は、
“何も鳴らない”ときに現れる。
鈴虫の声が止まった夜、
その余白に心が動く。
音と音のあいだに漂う静けさが、
人の感情を深める。
風情とは、
耳で感じる沈黙のことなのかもしれない。
🕯受け継がれる耳
現代の都市では、
鈴虫の声を聴く機会は少なくなった。
けれど、
人の中にはまだ“聴く耳”が残っている。
録音でも、記憶でもなく、
風や夜の空気の中で聴く声。
その感覚が途絶えない限り、
風情は生き続ける。
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