― 山が動くとき、熊も動く。 ―
🐻 基本情報
和名:クマ(熊)
対象種:ヒグマ/ツキノワグマ
焦点:季節ごとの行動と生態
舞台:北海道・本州の山地・渓流域
テーマ:季節とともに生きる熊の時間
🌸 春 ― 目覚めの森
雪解けの音が山を満たすころ、熊はゆっくりと巣穴から出てくる。
長い冬眠のあと、陽の光が体を包む瞬間――それが新しい季節の始まりだ。
最初に食べるのは、柔らかな草や木の芽。冷たい沢の水が、命を目覚めさせる。
母熊は小熊を連れて歩き出す。
雪の残る斜面で転がるように遊びながら、草の匂いや風の音を覚えていく。
熊にとって春とは、“学びの季節”でもある。
☀️ 夏 ― 実りを追う旅
夏、熊は山を広く歩く。
谷の川には魚が戻り、森にはベリーや木の実が実る。
日差しの強い午後、熊は木陰に身をひそめ、風の流れを読む。
山のあちこちに残る爪痕は、食べものを探す印。
それは荒らした跡ではなく、「森と熊の対話の痕跡」だ。
熊は森の恵みを受け取り、また森に種を返していく。
🍂 秋 ― 脂を蓄える季節
風が冷たくなると、熊は食べることに集中する。
どんぐり、クリ、ナナカマド。時には川に降りてサケを追う。
それは命を次の季節へつなぐための、静かな準備だ。
森の奥では、熊が歩くたびに落ち葉が舞う。
その足跡のひとつひとつが、季節のリズムを刻んでいる。
❄️ 冬 ― 静寂の眠り
雪が積もると、熊は再び巣穴へ戻る。
体温をゆるやかに落とし、呼吸を浅くして冬を越す。
その間にも、外では雪が音もなく降り積もっていく。
眠りの中で熊は、きっと春の匂いを夢に見るだろう。
命がめぐることを知っているからこそ、安心して眠る。
山の静けさの中で、次の季節の鼓動が生まれている。
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