🐋クジラ16:捕鯨の歴史 ― 人とクジラの長い関係 ―

クジラシリーズ

― クジラと人との関係は、古い時代の浜辺から始まった。
漂着した巨体を分け合い、油を灯りに、骨を道具に、肉を糧に。
それがやがて、海へ出て追う時代へ変わり、
産業として膨らみ、そして資源の枯渇へと向かっていった ―


🪸目次


🦴 1. 古代の捕鯨 ― 漂着から始まった利用

人とクジラの関係は、まず漂着個体の利用から始まった。

  • 肉・脂・骨を生活に使う
  • 道具として加工する地域も多い
  • 漂着は“恵み”として受け止められた

この段階では、積極的に海へ出て狩ることはなかった。


⛵ 2. 組織的な捕鯨の始まり ― 小舟からの狩り

中世以降、徐々に海へ出てクジラを追う文化が広がった。

  • 日本の古式捕鯨(網・銛を使う集団作業)
  • ヨーロッパの小規模捕鯨
  • 地域ごとに狙う種が異なる

クジラは沿岸社会にとって、大きな資源だった。


🚢 3. 近代捕鯨 ― 蒸気船と爆雷銛が変えたもの

19〜20世紀、技術の進歩が捕鯨を一変させた。

  • 蒸気船 → 長距離航海が可能に
  • 爆雷銛 → 巨大なシロナガスクジラも捕獲できるように
  • 工場船 → 海上で大量処理ができた

この時代に捕獲数が爆発的に増え、
多くの種で個体数が急減した。


📉 4. 資源の枯渇 ― 減っていくクジラたち

20世紀半ばには、いくつかの種が絶滅寸前まで追い込まれた。

  • シロナガスクジラ・ナガスクジラなど大型種は特に深刻
  • 資源減少で捕鯨産業そのものも立ち行かなくなる
  • “獲れない”ことが規制へ向かう現実的な理由になった

📜 5. 国際規制と現代 ― 捕鯨をめぐる議論

国際捕鯨委員会(IWC)は1980年代に商業捕鯨を停止。
以降、クジラは国際的な保護対象となっている。

  • 科学調査・先住民捕鯨など例外的な枠は存在する
  • 現在も国や地域によって意見は分かれる
  • 資源回復と文化の継承をどう両立するかが課題

人とクジラの関係は、今も続く問いの中にある。


🌙 詩的一行

長い海の記録は、静かな影と人のあいだに今も残っている。


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