🦚キジ13：季節変化 ― 色・行動・環境のめぐり ―

― 季節がひとつ動くたびに、里山の色は変わる。草の香りも、風の向きも、地表の温度も。キジはその変化に沿って生き、羽と行動と気配を静かに調整しながら、一年をめぐっていく ―

キジの暮らしは、季節の移ろいに深く結びついている。繁殖期の春、餌が豊富な夏、実りの秋、厳しい冬。色づき、鳴き声、行動範囲、採餌リズム……すべてが季節の流れの中で変化する。ここでは、キジが一年をどのように過ごしているのかを整理する。

🦚目次

春は、キジにとって最も活動が目立つ季節だ。雄は「ケーン」という鳴き声で縄張りを知らせ、姿を高く掲げて威嚇や求愛を行う。雌は巣の場所を探し、草むらの奥へ消えていく。

春の声とともに、里山のキジの一年が動き出す。

夏は草が伸び、昆虫が増え、雛の成長が進む季節。母鳥は雛を連れて餌の多い場所を巡り、朝夕を中心に活発に動く。日中は草むらに隠れ、暑さを避けて過ごすことが多い。

繁殖期の緊張が少し緩み、草の影に“育つ時間”が流れる。

秋になると、キジは木の実や種子を中心に餌を探す。農地周辺に現れやすくなり、落ち穂をついばむ姿が見られる季節だ。羽色は夏より濃くなり、冬に向けて体力を蓄えていく。

実りの多い季節が、鳥たちにとっても恵みの時間になる。

冬のキジは、動きが控えめになる。雪が積もる地域では餌が限られ、種子や草の根元を探す。羽毛を膨らませて寒さに備え、風の弱い場所を選んで過ごす。

冬は厳しいが、静けさの中で過ごす姿に、キジ本来の強さがにじむ。

季節のめぐりに合わせて動く影が、里山の一年をそっとつないでいく。