気候が違えば、料理の姿も変わる。
乾いた草原の国、雪に覆われる地方、広い農地が続く大陸――
麦はそれぞれの土地で、食べられ方を大きく変えてきた。
パン、スープ、粥、パスタ、甘い焼き菓子。
麦は世界の暮らしに深く入り込み、その地域ならではの味をつくり出している。
🕊️ 目次
🍞 ヨーロッパ ― パン文化を支えた小麦
ヨーロッパは、小麦を中心としたパン文化の大地だ。
フランスのバゲット、イタリアのチャバタ、ドイツの白パンなど、
地域ごとに食感や香りが違う。
発酵と焼成技術が磨かれ、麦は日常と宗教儀礼の両方を支える存在となった。
🥣 北欧・ロシア ― ライ麦が育てた濃い味わい
寒冷地では、小麦より強いライ麦が主役になる。
北欧の黒パン、ロシアのボルシチに添えられる濃厚なライ麦パン――
厳しい気候に合った、酸味のある深い味わいが特徴だ。
麦と酵母の文化が独自に発展し、地域の料理を形づくってきた。
🍝 地中海 ― パスタと粒食の文化
乾燥した地中海性気候では、デュラム小麦が力を発揮する。
パスタ、クスクス、ブルグルなど、粒や粉を活かした料理が多く、
風味と食感を生かした食文化が発展した。
小麦の種類と調理法が豊富なため、同じ麦でも国ごとにまったく違う料理が生まれている。
🌙 詩的一行
麦の粒は、土地の風と暮らしを映しながら、さまざまな味へ形を変えていく。
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