登熟が進み、粒がしっかりと重さを帯びてくると、
麦は季節の光を受けて黄金色へと変わっていく。
穂が垂れ、風に揺れる度にかすかな音を立てるこの時期は、
畑にとって一年で最も静かで大切な時間だ。
収穫と乾燥は、実りを「食べられる形」に仕上げる最後の工程でもある。
🕊️ 目次
🌾 刈り取りの合図 ― 穂の色と水分量
麦の収穫時期は、穂の色と粒の水分によって判断される。
粒の水分量が20%前後まで下がり、
穂が黄金色に変わっていくころが刈り取りの合図だ。
早すぎれば粒が痩せ、遅すぎれば穂発芽のリスクが高まるため、
天候と成熟度を見極める慎重な判断が求められる。
🌬 収穫の方法 ― 地域と品種で変わる作業
収穫は地域や品種によって方法が異なる。
現代ではコンバインによる収穫が一般的で、
刈り取りと脱穀を同時に行うことができる。
一方で、伝統的な地域では手作業の鎌刈りが残り、
乾燥棚に束をかけてゆっくり水分を抜く方法も見られる。
いずれも、麦の性質を理解したうえでの工夫が生きている。
🔥 乾燥の工程 ― 保存の質を決める仕上げ
収穫後の乾燥は、麦の品質と保存性を左右する仕上げの工程だ。
乾燥機では温度管理を行いながら水分量を14%前後まで下げ、
長期保存に耐える状態に整えていく。
ゆっくり乾燥させた麦は風味がよく、粉にしたときの質も安定する。
この段階まで丁寧に行うことで、はじめて一年の実りが完成する。
🌙 詩的一行
黄金の穂が揺れるたび、畑には静かな仕上げの気配が宿っていく。
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