🕊️ トンボ10:コシアキトンボ ― 腰に白を灯す影 ―

トンボシリーズ

水面の上を巡回する黒い影が、ふと止まった瞬間に白く光る。
腰の部分だけが淡く輝き、翅の影と水面の光が混じり合う。

それがコシアキトンボ
名前の由来でもある「腰の白帯」が、遠くからでもすぐにわかる特徴だ。

■基礎情報(コシアキトンボ)
・分類:トンボ目 トンボ科 コシアキトンボ属
・学名:Pseudothemis zonata
・分布:日本各地(北海道〜沖縄)
・体長:約4.5〜5.5cm
・主な生息環境:池、沼、ため池、水路、公園の人工池
・成虫の出現期:初夏〜秋


🕊️ 目次


⚪ 姿と色 ― 腰だけが白く浮かぶ体

コシアキトンボ最大の特徴は、腹部の中央にある白い帯
黒に近い体色の中でその部分だけが浮かび上がり、
飛んでいてもすぐに見分けがつく。

胸のあたりは黒と黄色が混ざり、光の角度で印象が変わる。
翅は透明で、日差しの強い季節に淡い影を落とす。


🎐 飛び方と性質 ― 強い縄張りと水面の巡回

コシアキトンボは縄張り意識が強い
池や沼の上を円を描くように巡回し、
他のトンボが近づくとすぐに追い払おうとする。

一方で、風の弱い日には水面近くでふわりと静止することもある。
黒と白のコントラストが、水面の揺らぎと重なって美しく見える瞬間だ。


🏞️ 暮らす場所 ― 公園の池でも見られる理由

コシアキトンボは都市環境にも強い
公園の池や整備された水辺でも姿を見せるのは、
ヤゴが隠れる場所さえあれば生きられる柔軟性があるからだ。

自然の池はもちろん、ため池や農業用水路など、
人の生活圏と自然が重なる場所でよく見られる。


🥚 産卵と生活史 ― 水辺で続く静かな周期

メスは水面近くを低く飛びながら、
水を叩くようにして卵を落とす。
卵は泥に沈み、ヤゴは岸辺や水草の影で育つ。

羽化は初夏から盛夏にかけて。
静かな水辺で殻を破り、黒と白の小さな影が空へ広がっていく。


🌙 詩的一行

白い帯は、水面の光をそっと分けるように漂っていた。


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