🎍ミカン17:正月の果実 ― 橙に込めた願い ―

ミカンシリーズ

― 枝の実が、家の祈りに変わる ―


🎍目次


🕊 橙の飾り ― 年神を迎えるしるし

新しい年を迎えるとき、鏡餅の上に橙をのせる。 白い餅の上の橙は、雪の上に残る陽のようだ。 この果実はただの飾りではなく、 年神を家に招くためのしるしとされてきた。 自然の実が、暮らしのなかで祈りの形をもつ。


🏠 家の祈り ― 代々続く家のかたち

「橙」は“代々”と読まれ、家が続くことを願う果実。 落ちずに枝に残る性質が、家族の繁栄と重ねられた。 正月飾りに橙を置く習慣は、 血のつながりよりも“暮らしの連なり”を象徴している。 同じ動作を繰り返すことが、 祈りを形にする日本のやり方だった。


🥢 新年の食卓 ― 果実に込める願い

橙は食卓にも登場する。 皮を砂糖で煮て甘露煮にし、果汁を搾って酢に使う。 その香りが漂う台所は、 一年のはじまりを知らせる場所になる。 日常の中に祈りが溶け込み、 自然の実が人の手で文化になる。 正月の橙は、自然と暮らしを結ぶ小さな橋である。


✒️ 詩的一行

橙の重みが、家の時間を支えている。


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