― 枝の実が、家の祈りに変わる ―
🎍目次
🕊 橙の飾り ― 年神を迎えるしるし
新しい年を迎えるとき、鏡餅の上に橙をのせる。 白い餅の上の橙は、雪の上に残る陽のようだ。 この果実はただの飾りではなく、 年神を家に招くためのしるしとされてきた。 自然の実が、暮らしのなかで祈りの形をもつ。
🏠 家の祈り ― 代々続く家のかたち
「橙」は“代々”と読まれ、家が続くことを願う果実。 落ちずに枝に残る性質が、家族の繁栄と重ねられた。 正月飾りに橙を置く習慣は、 血のつながりよりも“暮らしの連なり”を象徴している。 同じ動作を繰り返すことが、 祈りを形にする日本のやり方だった。
🥢 新年の食卓 ― 果実に込める願い
橙は食卓にも登場する。 皮を砂糖で煮て甘露煮にし、果汁を搾って酢に使う。 その香りが漂う台所は、 一年のはじまりを知らせる場所になる。 日常の中に祈りが溶け込み、 自然の実が人の手で文化になる。 正月の橙は、自然と暮らしを結ぶ小さな橋である。
✒️ 詩的一行
橙の重みが、家の時間を支えている。
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