暗い海の底、光の届かない洞窟の奥で、
カメラがかすかな“緑の点滅”をとらえた。
その光の正体は、ウフアガリアカサンゴスナギンチャク――
南大東島沖の深海洞窟で見つかった、新しい命だった。
このスナギンチャクは、体の一部が自ら発光する。
それは警戒のサインなのか、仲間への合図なのか。
研究チームが無人潜水機を使って調べると、
淡い緑の光が、洞窟の壁に呼吸するように点滅していたという。
発見を報告したのは、琉球大学と海洋研究開発機構(JAMSTEC)の合同チーム。
発表は2025年11月6日。
沖縄近海の深海洞窟から、発光を確認できる新種スナギンチャクが見つかったのは初めてだ。
人が入れない暗闇のなかで、
なぜこの生き物は光るのだろう。
深海での捕食や共生、
あるいは“孤立した世界での進化”の証かもしれない。
ウフアガリとは、沖縄の言葉で「東から昇る光」を意味するという。
まるで名のとおり、
海の底から一瞬だけ昇る、小さな夜明けのようだ。
見えない場所にも、
確かに命は続いている。
私たちが知らないところで、
海は今も静かに呼吸している。
🌏 せいかつ生き物図鑑・国内編
― 季節のいきものと暮らしをめぐる観察記 ―出典:琉球大学/JAMSTEC/琉球新報(2025年11月6日報道)
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