森が終わるところに、まだ木が立っている。
岩の裂け目に根を差し込み、
海の風を受けながら、
しずかに葉を光らせている。
🌿 岩の森
ウバメガシは、海辺や岩場に育つ常緑樹。
強風と乾燥に耐えるため、葉は小さく厚い。
枝は低く広がり、根は岩を割って水を探す。
そのたくましさは、
森の終わりに立つ木という言葉がふさわしい。
森がやせ、他の木が消える場所にも、
ウバメガシは残る。
それは、生きるというより“耐える”という生き方だ。
🌾 炭と黒の記憶
ウバメガシは紀州備長炭の原木として知られる。
その炭は硬く、火持ちがよく、
茶道の湯釜を静かに支える黒の力を持つ。
山の斜面で切られ、焼かれ、また萌える。
それを何百年も続けてきた。
この木は、人と火のあいだに立ち続けた木。
🌊 海と風の境界
潮の香と風の音が混じる場所で、
ウバメガシの葉は塩をはじく。
森と海のあいだに立ち、
どちらにも属さず、どちらも見ている。
その姿は、
境界に生きる命の象徴のようだ。
🌙 詩的一行
岩の上にも、森は根づく。
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