🐄ウシ8：褐毛和種 ― 九州の山が育む褐色の牛 ―

― 柔らかな赤褐色の体が、九州の山あいの光にゆっくりと溶けこんでいく。褐毛和種は、日本の温暖な地域で育ち、適度な筋肉と深い赤身の旨味を備えた牛として知られている。黒毛和種が霜降りで評価される一方、褐毛和種は“肉そのものの味”を大切にする風土から生まれた牛だ。

ここでは、褐毛和種の背景、体つき、生態的気質、文化的な位置づけを見ていく。

🐄目次

• ⛰️ 1. 歴史と背景 ― 山の風土に育てられた牛
• 🌾 2. 体の特徴 ― 赤褐色と赤身の肉質
• 🐮 3. 生態・気質 ― 温厚で丈夫な性質
• 🍽️ 4. 人との関係・文化 ― 赤身の旨味を支える地域ブランド
• 🌙 詩的一行

⛰️ 1. 歴史と背景 ― 山の風土に育てられた牛

褐毛和種は、熊本・高知などの温暖な地域で古くから飼われてきた在来牛が基礎となっている。

• 山地での飼育：坂の多い土地で働く役牛としての歴史を持つ
• 在来牛の改良：赤身の味を重視して改良が進み、肉質の個性が磨かれた
• 和牛四品種の一角：黒毛和種・無角和種・日本短角種と並ぶ公式品種

山の地形と気候は、褐毛和種の特徴を形づくる大きな要因となった。

🌾 2. 体の特徴 ― 赤褐色と赤身の肉質

褐毛和種は、名前の通り赤みを帯びた褐色の毛を持ち、黒毛和種とは印象が大きく異なる。

• 赤褐色の体色：地域によって濃淡があるが、光を受けると温かみが増す
• 適度な筋肉質：赤身主体の肉質を支えるバランスの良い体つき
• 脂が控えめ：霜降りは少ないが、噛むほどに旨味が出る赤身肉
• 暑さへの適応：温暖地域の飼育に向く体質

“赤身の旨味”という価値観を象徴する体つきだ。

🐮 3. 生態・気質 ― 温厚で丈夫な性質

褐毛和種は、性格が穏やかで丈夫。農作業でも重宝されてきた理由がここにある。

• 温厚な気質：扱いやすく、群れも安定しやすい
• 強い足腰：山地での作業や放牧に向く
• 環境耐性：暑さに強く、飼育環境に柔軟に順応

体力と穏やかさを兼ね備えた品種といえる。

🍽️ 4. 人との関係・文化 ― 赤身の旨味を支える地域ブランド

褐毛和種は、その肉質から“赤身の味”に重きを置く地域文化と結びついてきた。

• 熊本・高知の肉文化：赤身の深い旨味を評価する伝統
• ブランド牛：阿蘇王・土佐あかうしなど、地域ブランドが存在
• 希少価値：飼育頭数が少なく、希少性が高い

褐毛和種は、日本の多様な食文化の一部を形づくる重要な存在だ。

🌙 詩的一行

赤褐色の影が、夕暮れの山あいにそっと沈んでいった。

🐄→ 次の記事へ（ウシ9：日本短角種）
🐄→ ウシシリーズ一覧へ