白い花は、目立たない。だが近づくと、はっきりとした香りがある。白梅は、見る花というより、感じる花だ。
ウメの品種の中で、白梅系はもっとも古く、実用と結びついてきた系譜を持つ。派手さよりも確実さ。香りと結実の安定性が、長く選ばれてきた理由だった。
この章では、ウメ品種の基盤を形づくってきた白梅系品種の特徴と役割を見ていく。
📌 図鑑の基礎情報
- 分類:バラ科サクラ属(Prunus)
- 区分:白梅系(花梅・実梅の双方を含む)
- 主な用途:観賞、果実加工、庭木
- 分布:日本各地(古くから栽培)
- 開花期:1〜3月
- 結実・収穫:5〜6月
- 特徴:香りが強い、結実が安定
- 見分けポイント:白花、香り、素直な枝ぶり
🌸 目次
🤍 1. 白梅系とは何か
白梅系品種とは、花色が白を基調とし、比較的原種的性質を多く残したウメの系統を指す。
栽培の歴史が古く、実を目的とした栽培とも強く結びついてきた。観賞用でありながら、生活の中で使われる木でもあった。
🌸 2. 花の特徴 ― 香りが主役
白梅の花は、色ではなく香りで存在を示す。
- 色:純白〜乳白色
- 花弁:一重が多い
- 香り:強く、澄んでいる
- 印象:控えめだが記憶に残る
寒い空気の中では、香りは遠くまで届く。白梅は、早春という条件に最適化された花のかたちを保っている。
🥭 3. 実との関係 ― 実梅への近さ
白梅系品種の多くは、結実性が高く、実梅としても利用されてきた。
- 結実:安定しやすい
- 実:中〜小型
- 酸味:はっきりしている
- 用途:梅干し・梅酒
このため、花梅と実梅の境界が曖昧な品種も多い。白梅系は、観賞と利用をつなぐ存在だ。
🔎 4. 白梅系が基盤になった理由
白梅系がウメ全体の基盤となったのは、性質が安定していたからだ。
- 耐寒性:高い
- 結実性:安定
- 香り:受粉に有利
- 扱いやすさ:剪定・管理が容易
派手さはないが、長く続く。白梅系は、ウメという木の基本形を今に伝えている。
🌙 詩的一行
白い花は、香りだけで春を伝える。
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