🌿 チャノキ6:葉 ― 新芽と成葉のちがい

チャノキシリーズ

【部位】葉(新芽・成葉)
【新芽】柔らかい/テアニン豊富/一番茶の中心となる
【成葉】厚い/カテキン増加/光合成の主役
【色】新芽は淡い黄緑、成葉は濃い深緑
【季節】春に萌芽、夏に成熟、秋にかけて硬化
【役割】光合成・香り生成・茶の品質を決める核心部位


― 春の光を吸い込む新芽と、夏の空を支える成葉。 その違いが、茶の香りを決めている ―

チャノキの葉は、大きく分けて「新芽」「成葉」がある。 見た目はよく似ているが、その中身はまったく違う。 柔らかい新芽は旨味を、成熟した成葉は渋みと力強さをつくる。


🌿目次


🍃 新芽と成葉 ― まずは構造のちがい

チャノキの葉は、同じ一枚でも成長段階で役割が変わる

  • 新芽:柔らかい・薄い・淡い色・細胞が若い
  • 成葉:厚い・硬い・濃い緑・光合成能力が高い

この違いがそのまま「味の方向」を決める。 新芽は香りの源、成葉は力の源だ。


🌱 一番茶はなぜ美味しい? ― 芽の成分バランス

春の新芽にはテアニンが多い。 テアニンは旨味成分で、柔らかい芽に多く含まれる。

  • テアニン → 旨味・甘み
  • カテキン → 渋み・爽やかさ

一番茶が美味しい理由=テアニン > カテキン だから。

成長が進むほど、テアニンがカテキンに変わり、渋みが強まっていく。 だから“新芽=春の味”は、年に一度の特別な瞬間になる。


🌞 夏の葉がつくる渋み ― 光とカテキンの関係

成葉は、夏の強い光を受けてカテキンを増やす。 カテキンは光のストレスから葉を守る成分でもある。

  • 光が強い → カテキン増加 → 渋みが強い
  • 光が弱い → テアニン保持 → 旨味が残る

日よけをする「かぶせ茶」や「玉露」は、 この光ストレスを減らすことで旨味を活かしている。


🧪 成葉が“工場”になる ― 光合成と香りの素材

成葉は渋みが強いだけではない。 一年を通して光合成を行う“工場”として働き、香りの素材を作り続ける。

  • 炭水化物 → 新芽の成長へ
  • 香気前駆物質 → 火入れ後の香りを決める
  • 葉の厚さ → 品質の安定に関与

成葉が強いほど、翌春の新芽がしっかり育つ。


🫖 製茶での扱い ― どの葉がどのお茶になる?

新芽と成葉は、製茶の目的によって使い分けられる。

  • 新芽中心:煎茶・玉露・高級茶
  • 成葉多め:番茶・ほうじ茶・紅茶
  • 成熟葉:ほうじ茶の香ばしさに向く

つまり、同じ畑でも葉のどの部分を使うかで、まったく違うお茶になるということ。


🌙 詩的一行

淡い緑の新芽も、濃い緑の成葉も、どちらも季節の光をため続けている。


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