🌿 チャノキ17:害虫と病気 ― 茶畑を守る手入れの技

チャノキシリーズ

― 茶畑を歩く茶農家は、葉の色、芽の向き、風の通り方まで目で読み取る。病や虫そのものよりも、その“兆し”を見抜く力こそが畑を守る技になる ―

茶の栽培は、生き物との闘いよりも“管理と判断”の積み重ねだ。害虫や病気を完全に消すことはできない。だからこそ、茶農家は葉の変化、湿気のたまり方、気温の揺らぎを読みながら、問題が表に出る前に手を打つ。

🌿目次

👀 1. 兆しを読む ― 茶農家が最初に見るもの

病害虫そのものを見るより、茶農家は“前兆”を見る。

  • 葉の艶が鈍る
  • 芽の揃いが乱れる
  • 湿気のたまり場ができる
  • 地表の色が変わる

一見わずかな違いでも、経験者には大きなサインになる。

✂️ 2. 剪定と整枝 ― 風と光の通り道を作る技

病気の大半は湿気から始まる。だから茶農家は、枝の向きや葉の重なりを調整して風と光の通り道を作る。

  • 枝の“重なり”を減らす
  • 光が均一に落ちるよう角度を調整
  • 密度を整え、蒸れを防ぐ

見た目よりも“空気の動き”を優先するのが茶畑の整枝だ。

🧭 3. 畝づくりと排水管理 ― 病害の根を断つ

茶農家が特に気を遣うのは“水のたまり場”。わずかな停滞が病気の原因になる。

  • 畝の高さを調整して水を逃がす
  • 通路を掘り、排水をコントロール
  • 雨の向きを読み、流れを作る

排水は防除より前にある“畑の体調管理”だ。

📅 4. 季節の管理 ― 時期ごとに変わる“守り方”

病害虫の出方は季節ごとに変わる。茶農家の仕事は、その変化を先読みすることだ。

  • 春 → 新芽の軟弱さを守る
  • 梅雨 → 湿気と高温対策
  • 夏 → 葉の疲れを抜く管理
  • 秋 → 冬芽を健康に残す

“今の芽”だけでなく、次の茶期を見据えて畑を整える。

📝 5. 記録と経験 ― 茶農家が受け継ぐ判断の知恵

病害虫に対処する技術は、観察と記録の積み重ねから生まれる。

  • 前年の発生傾向の記録
  • 気象のメモと実際の被害との照合
  • 芽の色や葉の質感の違いを記録

茶農家のノートには、栽培書には載らない“畑の声”が残されている。

🌙 詩的一行

変化の前にある気配を読むことが、茶畑を守る静かな技になっていく。

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