🌿 チャノキ12:加工の基礎 ― 茶になるまでの道のり

チャノキシリーズ

― 収穫されたばかりの柔らかな新芽が、“お茶”という姿になるまで。その道のりには、火と水と空気の細やかな調整がある ―

茶葉は摘んだだけでは茶にならない。摘採後すぐに加工場へ運ばれ、蒸し・揉み・乾燥という工程を経て、ようやく私たちが知る「茶葉」へと姿を変える。加工は、茶の香りと味を決める核心の工程だ。

🌿目次

🔥 1. 蒸し ― 酵素の働きを止めて“緑茶”をつくる

摘んだ茶葉をまず最初に通す工程が蒸し。100℃前後の蒸気で一気に加熱し、酸化酵素の働きを止めることで、茶葉は“緑のまま”固定される。

  • 酸化を止めて緑茶の色と香りを保つ
  • 蒸し時間によって味が変わる(浅蒸し/深蒸し)
  • 青々しい香りが一気に開く

蒸しは、緑茶と紅茶・烏龍茶を分ける最初の分岐点でもある。

✋ 2. 揉み ― 葉を開かせ、香りを引き出す

蒸した茶葉をほぐし、細胞を開く工程が揉み。熱と圧を加えながら丁寧に揉み込むことで、香りが立ち、茶の形が生まれていく。

  • 細胞を開き、成分が出やすくなる
  • 香りの方向性が決まる工程
  • 形状が整い、茶葉らしい姿になる

揉みの技術の差は、そのまま香りの質の差になる。

🌬 3. 乾燥 ― 成分を安定させ、香りを固定する

揉んだ茶葉は、熱風で水分を取り除きながら乾燥される。この工程で茶葉は保存性を持ち、香りが安定する。

  • 水分を飛ばして保存性を高める
  • 香りと旨味が落ち着く
  • 茶葉の形状がしっかり固まる

乾燥が甘いと変質しやすく、逆に強すぎると香りが抜ける。細やかな調整が必要だ。

🍃 4. 荒茶(あらちゃ)とは ― 工程を終えた最初の姿

蒸し・揉み・乾燥を終えた茶葉は荒茶(あらちゃ)と呼ばれる。ここではまだ形も大きさも揃っておらず、茎や粉も混ざっている。

  • 茶畑ごとの特徴がそのまま残る
  • ここから仕上げ加工で品質を整える

荒茶は、畑の個性がもっとも濃い段階の茶とも言える。

✨ 5. 仕上げ加工 ― 茶の“顔つき”を整える

荒茶を選別・整形し、最終的な品質へ導く工程が仕上げ加工。ここで茶の“顔”が決まり、市場に出せる形になる。

  • 茎・粉・大きさを選別して均一にする
  • 火入れで香りを調整する
  • 茶種ごとの特性を明確にする

特に火入れは香りの核心で、甘さ・青み・香ばしさなどを最後に整える。

🌙 詩的一行

蒸気と熱と風のあいだで、緑の香りはゆっくりと茶の姿へと変わっていく。

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