🕊️ トンボ4:ヤゴのすべて ― 形・種類・能力の図鑑 ―

トンボシリーズ

水の底でじっと息をひそめる小さな影。
その姿は一見すると似ているが、よく見ると形も動きもまったく違う。

ヤゴには種ごとの特徴があり、暮らし方も能力も幅広い。
この章では、ヤゴの構造・種類・行動を“図鑑として”深く見ていく。


🕊️ 目次


🧬 ヤゴの体の構造 ― 呼吸・脚・マスク

ヤゴは水中で呼吸する昆虫だ。
種類によって仕組みは異なり、ヤンマ類は“肛門から酸素を取り込む”、
イトトンボ類は“尾にある三枚の鰓で呼吸する”。
同じヤゴでも、構造は大きく違う。

捕食に使う「マスク」にも二種類ある。
しずかに横へ伸びる型と、下方向へ大きく開く型。
獲物によって使い分ける精密な道具で、種類ごとに形が異なる。


🗂️ 種ごとのヤゴ ― アカネ型/ヤンマ型/イトトンボ型

ヤゴは大きく分けて3つのタイプがある。

  • アカネ型(アキアカネなど):小型で素早い、泥に潜らず動き回る
  • ヤンマ型(オニヤンマ・ギンヤンマなど):大型でがっしり、待ち伏せが得意
  • イトトンボ型:細身で繊細、尾に3枚の鰓がある

姿・呼吸・動きがまったく違うため、
同じ水辺でも「どの種が住めるか」は大きく変わる。
これが“ヤゴで水環境が読める”と言われる理由だ。


🎯 行動の違い ― 待ち伏せ・隠れる・泳ぐ

ヤゴの行動は種類で大きく異なる。
あるものは泥に潜って待ち伏せし、
あるものは水草の林の中を歩きまわり、
またあるものは魚のように泳いで移動する。

「食べ方」「移動の仕方」「隠れ方」が異なるため、
同じ水辺でも役割が重ならず、互いに住み分けることができる。


🥚 孵化から脱皮まで ― 時間のかかる成長

ヤゴの期間は長い。
種類によっては数か月、長いものは2〜3年。
その間に10回以上脱皮する種もいる。

殻の中で体は少しずつ“空を飛ぶ準備”を進めていく。
成虫の姿が見えるのは、長い水中生活の先にある一瞬だけだ。


🌙 詩的一行

水の底で続いた時間が、静かに翅へ変わっていく。


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