政府が公表した“生き残るための指針”(2025年10月31日)
森の奥で暮らすはずのクマが、いま人の生活圏にまで姿を見せている。
住宅街、学校の裏、朝の通勤路。
ここ数年、北海道から本州北部にかけて出没件数が急増し、
今年は全国で100件を超える被害報告が出ている。
この状況を受けて、環境省と各自治体は「クマとの遭遇時に生き延びるための行動指針」を初めて公表した。
その内容は、単に「出会わないようにする」ではなく、
「出会ってしまったとき、どう動くか」を重視している。
静かな森が変わった。
そして、人の意識も変わらなければならない。
指針によれば、遭遇時には以下の三原則が重要とされる。
1️⃣ 走らない — クマを刺激せず、視線をそらさずに後退する。
2️⃣ 音を立てる — 人の存在を早く知らせ、出会い頭を防ぐ。
3️⃣ 餌を残さない — 家庭ゴミや畑の果実が誘引源になる。
どれも単純だが、実践されてこなかった。
人が「自然から離れた生活」を送り続けた結果、
森と人の境界が曖昧になった。
いま必要なのは、恐れよりも“理解”だ。
クマは本来、臆病で慎重な動物だという。
人が作った山道を通り、人の残した畑を歩く。
それは侵入ではなく、“生き延びるための選択”でもある。
この地で生きていくのは、クマも人も同じ。
だからこそ、どちらかを排除するのではなく、
お互いの生きる距離を学び直す必要がある。
森の静けさを守ることは、人の暮らしを守ること。
共に生き延びる時代が、もう始まっている。
🏞 せいかつ生き物図鑑・地方編
― 四季をめぐる観察記 ―出典:環境省/The Guardian/NHK報道など
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