※この記事は、令和7年度の水産資源評価を「結論だけ」「できるだけ簡単に」まとめた要約記事です。
専門的な数値や用語は最小限にし、日本の海が今どんな状態なのかを大づかみに整理しています。
令和7年度の水産資源評価結果が公表
― 日本の海はいま、どんな状態なのか ―
2025年、水産庁は「令和7年度 我が国周辺水域の水産資源評価結果」を公表した。
対象は、日本近海に生息する192魚種。
私たちが日常的に食べている魚も多く含まれている。
この評価は、
「今年は豊漁だった」「不漁だった」といった感覚的な話ではなく、
魚が今どの段階にいるのかを、数字とデータで整理したものだ。
では今回の評価で、何が分かったのか。
ポイントを、できるだけ分かりやすく見ていく。
■ そもそも「水産資源評価」とは何か
水産資源評価で見ているのは、主に次の3点だ。
- どれくらい獲られているか
- 海にどれくらい残っていそうか
- 次の世代を生む「親魚」が足りているか
これらをもとに、
「このまま獲り続けて大丈夫か」「少し休ませた方がいいか」
を魚種ごとに判断している。
■ 今回の評価で見えてきた、3つのタイプ
令和7年度の評価結果を整理すると、
日本の魚は大きく3つのタイプに分かれる。
① 量は多いが、油断できない魚
代表例がマイワシだ。
ニュースでは「豊漁」と報じられることも多い。
実際、今の資源量だけを見れば多い。
ただ今回の評価では、
若い世代の魚が減り始めていることや、
卵を産む勢いが弱まっていることが指摘された。
つまり、
「今は多いが、この状態がずっと続くとは限らない」
という段階にある。
② 少なくなっていて、調整が必要な魚
マアジなどが、このタイプにあたる。
評価では、
海に残っている親魚の量が目標より少ない一方で、
獲る強さはまだ高い状態にあることが示された。
ただし同時に、
獲り方を調整すれば、回復が見込める
ともされている。
今が、将来を分ける分かれ目と言える。
③ ほぼ底まで落ちた魚
瀬戸内海のイカナゴは、特に深刻だ。
かつては年間数万トン単位で獲れていたが、
現在は100トン台まで落ち込んでいる。
評価資料では、
「資源水準が限界を下回っている」
と明確に示された。
これは「今年は不漁だった」という話ではなく、
海の状態そのものが、イカナゴにとって厳しい
段階に入っていることを意味する。
■ 明るい話もある ― 管理で戻った魚
すべてが悪いわけではない。
ズワイガニ(日本海側)は、
獲りすぎを抑え、小さな個体を守る管理が続いた結果、
親になるカニが十分に戻っている
と評価された。
これは、
資源管理が実際に効果を持つ
ことを示す例でもある。
■ この評価が、私たちに関係する理由
水産資源評価は、漁業者だけの話ではない。
魚の値段、
国産と輸入のバランス、
地域の仕事、
食卓に並ぶ魚の種類。
これらはすべて、
この評価をもとにした判断
で少しずつ変わっていく。
■ 一喜一憂しないために
今回の評価が教えているのは、
「今年は良かった」「悪かった」という短い話ではない。
魚が今、どの段階にいるのか。
次の世代につなぐ余裕があるのか。
それを知るための、
ひとつの「海の健康診断」だ。
🌊 国内ニュース
― 令和7年度 我が国周辺水域の水産資源評価結果 ―出典:水産庁/国立研究開発法人 水産研究・教育機構(FRA)
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