海に残された漁網を“ゴミ”で終わらせない。
― 廃漁網リサイクルが、今あらためて注目を集めている。
使用後に海へ流れ出た漁網は、魚やエビをからめ取る“ゴーストギア”となり、
生き物に静かに被害を与える海洋ごみの代表格だ。
近年、国内でこの問題に向き合う企業として挙げられているのがEllange(エランジュ)株式会社。
同社は2022年から廃漁網回収と再生素材の製造を続けており、2025年11月の業界報道をきっかけに、再び注目が高まっている。
■ ゴーストギアが生き物に与える影響
ナイロン製の漁網は丈夫で、海中では数十年残るとされる。
海底に沈む網は魚やカニを絡め取り、見えない場所で死を招く。
藻場の上に積もれば光を遮り、幼魚の隠れ家を奪ってしまう。
■ Ellangeの“回収から再生”までの工程
Ellangeは全国各地の漁港で出る廃漁網を集め、次の工程で新たな資源へと循環させている。
- ① 漁網を回収し、砂や海藻を洗浄
- ② ナイロンを分解して原料化(リサイクルポリアミド)
- ③ アパレル素材・工業資材として出荷
- ④ 企業・地域と連携し製品化
廃棄コストが負担になっていた漁業現場では、
この取り組みが新しい収入源になる期待も高まっている。
■ “海洋ごみ”を“地域の循環”へ変える動き
海洋ごみ問題は、個人の意識だけでは解決できない。
漁業者・企業・地域社会がつながることで、初めて持続的な循環が生まれる。
海に残された網が、生き物を傷つける存在から、
誰かが使う新しい資源へと姿を変えていく――。
潮風はいつも通りに吹いている。
しかし、海の底では“未来を守る小さな循環”が静かに動き始めている。
🌊 せいかつ生き物図鑑・国内ニュース編
― 海のごみと向き合う新しい循環のかたち ―出典:Ellange公式情報(2022–2025)/水産庁 ゴーストギア対策資料/水産新聞(2025年11月24日報)
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