自然資本を「成長の土台」として見直すとき― 生物多様性と経済成長の両立をめざす提言(2025年11月18日)

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自然資本を「成長の土台」として見直すとき
― 生物多様性と経済成長の両立をめざす提言(2025年11月18日)

日本の経済団体から、「自然資本」と「生物多様性」を
これからの経済成長の土台として位置づけ直そうという提言が出された。
発表したのは、日本経済団体連合会(経団連)。

■ 自然は“使い捨ての資源”ではなく「資本」

提言では、森や川、海、土壌、そこに暮らす生き物たちをまとめて
「自然資本(ナチュラルキャピタル)」として扱っている。
それは、単に「守るべき自然」ではなく、

・食べ物や水を生み出す力
・二酸化炭素を吸収し、気候を安定させる力
・土砂災害や洪水をやわらげる力
といった、さまざまな生態系サービスを支える“基盤”だという考え方だ。

これまでは、経済活動の「外側」に置かれがちだった自然を、
企業の経営や投資判断のど真ん中に置き直そうとしている。

■ 企業は何を求められているのか

提言の中で、企業に求められているのは、たとえば次のようなことだ。

・自社の事業が、森や海、里山の生き物にどんな影響を与えているかを把握すること
・自然資本や生物多様性に関するデータを集め、可視化し、共有すること
・海外のルール(TNFDなど)と足並みをそろえながら、開示や対策を進めること
・保全活動を「CSRの一部」ではなく、本業に組み込まれた戦略として位置づけること

森を守ること、川を汚さないこと、海のゆらぎを小さくすることが、
そのまま企業のリスクを減らし、長く続く利益につながる――。
そんな考え方を、もう一度はっきりと言葉にした提言だとも言える。

■ 森と海へのまなざしを、もう一度

この提言がすぐにすべてを変えるわけではない。
けれど、「自然は使い尽くすものではなく、一緒に育てていく土台だ」という視点が、
経済の言葉で語られ始めたことには、確かな重みがある。

山の斜面をおおう森も、田んぼの畦道も、浜辺の砂地も、
そこにいる小さな生き物たちも、どれもが私たちの暮らしを支える“見えない資本”だ。
その価値をどう守り、どう使っていくのか――。
問われているのは、経済だけでなく、私たち一人ひとりの選び方なのかもしれない。

🌏 せいかつ生き物図鑑・国内ニュース編
― 足もとと世界の自然をつなぐ観察記 ―

出典:日本経済団体連合会「生物多様性・自然資本保全と持続的な経済成長の両立に向けた提言」(2025年11月18日)

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