秋田県・男鹿の海に、静かな試みが始まった。
それは、海の底に“畑”をつくるような仕事。
海藻を育て、海そのものを豊かにする――
そんな実験が、今、進んでいる。
プロジェクトを進めているのは、
地域の漁業者と研究者たち。
藻場の再生と養殖を組み合わせた“藻場養殖”を通して、
海の環境を回復させようとしている。
海藻は、光と二酸化炭素を吸い込みながら、
水を浄化し、魚や貝がすむ小さな森をつくる。
同時に、海中の栄養バランスを整える働きもある。
「育てることで守る」――そんな発想の保全だ。
男鹿の沿岸では、海水温の上昇と磯焼けが進んでいた。
海藻が減ると、生き物たちのすみかが消え、
海は“無音”に近づいていく。
だからこそ、地元の人びとがもう一度、
自分たちの海を「耕す」ように動き始めた。
波の下でゆらめく緑の森。
それは未来の海のかたちを映している。
小さな芽が流れの中で揺れながら、
やがて海の命をつなぐ根になる。
🌏 せいかつ生き物図鑑・国内編
― 季節のいきものと暮らしをめぐる観察記 ―出典:日本自然保護協会(NACS-J)ニュースリリース(2025年11月5日)/秋田県男鹿市沿岸プロジェクト資料
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