タケが群落をつくると、そこには独特の空間が生まれる。光は弱まり、風はやわらぎ、地面には厚い落葉が積もる。竹林は、単なる植物の集まりではなく、環境そのものになる。
この環境の変化に応じて、集まる生き物も変わる。入り込めなくなる種もいれば、竹林だからこそ生きられる存在もいる。竹林は、選別の強い生態系だ。
ここでは、タケがつくる空間が、動物・菌類・人とどのように関わっているのかを見ていく。
🎐目次
🌿 1. 竹林という環境 ― 光と静けさの場
竹林の内部は、他の森林とは異なる性質を持つ。
- 光:上層で遮られ、林床は暗い。
- 風:稈が密集し、流れが弱まる。
- 下層植生:乏しく、単純。
この環境では、多くの草本植物が育たない。その代わり、安定した温度と湿度が保たれる。竹林は変化の少ない空間だ。
🐾 2. 動物との関係 ― 利用する者・避ける者
竹林を利用する動物は限られている。
- 利用者:イノシシ(タケノコ)、小型哺乳類。
- 回避者:下草を必要とする草食獣。
- 例外:パンダ(竹専食)。
竹林は、餌が偏っているため、多様な動物を支える場にはなりにくい。その一方で、特定の資源を狙う種には重要な場所になる。
🍄 3. 土と菌類 ― 分解と循環
竹林の地面には、毎年大量の落葉と枯死稈が供給される。
- 分解者:菌類・微生物。
- 土壌:有機物が厚く堆積。
- 循環:養分が地下茎へ戻る。
菌類は、竹林を支える見えない主役だ。分解がなければ、地下茎の拡大も維持も成立しない。
🏠 4. 人と竹林 ― 里山の生態系として
人が関与することで、竹林の性質は大きく変わる。
- 管理:伐採・間引き・利用。
- 放置:単一化・拡大。
- 文化:資源循環の場。
かつての里山では、竹林は定期的に利用され、生態系の一部として組み込まれていた。現在の問題は、タケが悪いのではなく、関係が途切れたことにある。
🌙 詩的一行
竹林は、選ばれた生き物だけに静けさを渡す。
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