回遊

初夏、川が濃くなる季節に帰るサツキマス。銀化した体で境を渡り、山里の季節とともに遡上する。水の匂いと影の濃さが深まる、成熟の物語。

桜の咲くころに川をのぼるサクラマス。春の光とともに戻る命は、季節の象徴として輝く。雪解けの川に宿る、静かな再生の物語。

冷たい北の海で生きるカラフトマス。二年という短い命を燃やし、荒波を越えて帰る魚。北の風に揺れるその姿に、季節の終わりが映る。

秋の川に帰る光の魚、シロザケ。海で育ち、命を光に変えて還る。その姿に、人と自然の約束が映る。

川を離れ、北の海をめざす鮭たち。光、潮、風のすべてが彼らの道しるべ。海での成長と、命の巡りの始まりを描く。