タバコは、一年の中でその役割を終える植物だ。
芽を出し、葉を広げ、花を咲かせ、種を残す。
人に利用される以前から、タバコは季節に沿って完結する生活史を持っていた。
そのリズムは、栽培されるようになっても、大きくは変わっていない。
ここでは、嗜好や加工の話を離れ、
植物としてのタバコがたどる一年を追っていく。
🌿 目次
🌱 1. 播種と発芽 ― 小さな始まり
タバコの種子は非常に小さい。
肉眼では粉のように見えるほどだ。
- 種子:微小・軽量
- 発芽:好光性(光を必要とする)
- 初期成長:きわめて緩やか
自然下では、地表近くに落ちた種子だけが芽を出す。
土に深く埋もれると、発芽できない。
この性質は、攪乱の多い環境で世代をつなぐための戦略でもある。
🍃 2. 成長期 ― 葉を広げる時間
発芽後、タバコは茎を伸ばしながら葉を次々と展開する。
この時期が、植物体としての最盛期だ。
- 葉:下位葉から順に大きくなる
- 光:十分な日照を必要とする
- 水:乾燥しすぎない環境
葉は、光合成によって養分を蓄えると同時に、
ニコチンなどの化学物質を内部に蓄積していく。
タバコにとって、この期間は生存と防御を固める時間だ。
🌸 3. 開花と分枝 ― 次の世代へ
一定の大きさに達すると、タバコは花茎を伸ばし、開花する。
- 花序:頂生
- 花色:白〜淡紅色
- 開花時期:夏〜初秋
開花は、植物にとって次世代への移行を意味する。
多くの場合、開花後は葉の成長が鈍くなる。
タバコは、葉を広げきったあと、
繁殖へと役割を切り替える。
🌾 4. 一年草としての生き方
栽培タバコは、通常一年草として扱われる。
発芽から種子形成までを、一季で終える。
多年草として生き延びるより、
短期間で世代を更新するほうが、攪乱環境では有利になる。
この生活史は、
人の管理下に置かれても維持されてきた。
タバコの一年は、植物本来の時間感覚をよく残している。
🍃 詩的一行
タバコは、一年という枠の中で、葉と種の役目を静かに終える。
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