🌱 植物プランクトン10:珪藻 ― 海をつくるガラスの藻 ―

植物プランクトンシリーズ

顕微鏡の視野に、
規則正しい線と模様が現れる。

透明で、硬く、
まるで精巧な器のような形。
それが、珪藻と呼ばれる植物プランクトンだ。

目立たず、名も知られない存在だが、
海や湖の姿は、
この「ガラスの藻」によって形づくられている。

🧾 基礎情報

  • 和名:珪藻類
  • 英名:Diatoms
  • 学名:Bacillariophyta(代表的分類群)
  • 分類:真核生物/藻類
  • 区分:植物プランクトン(生活様式)
  • 分布:全球(海洋・淡水)
  • 生息環境:表層の有光層、沿岸〜外洋、湖沼・河川
  • サイズ:数µm〜数百µm
  • 栄養様式:光合成(一次生産者)
  • 増え方:細胞分裂/条件によりブルーム
  • 移動:基本的に浮遊(流れ・混合に依存)
  • 捕食者:動物プランクトン(カイアシ類など)
  • 観察のヒント:採水・顕微鏡観察、沈殿試料

🌱 目次

🔬 1. 珪藻とは何者か

珪藻は、
植物プランクトンの中でも、
最も広く分布し、最も量が多いグループのひとつだ。

海でも淡水でも、
光が届き、栄養があれば、
ほぼ必ず珪藻が現れる。

その存在感は、
派手さではなく、
量と安定性によって示される。

🧱 2. ガラスの殻という特徴

珪藻最大の特徴は、
二枚貝のように組み合わさった殻を持つことだ。

この殻は、
ケイ酸を主成分とするガラス質で、
非常に硬く、精密な模様を持つ。

  • 捕食されにくい
  • 形によって沈下を遅らせる
  • 分裂時に必ず継承される

殻は防御であると同時に、
珪藻の生活史そのものを規定する構造だ。

🌊 3. 水域を支配する一次生産者

珪藻は、
水域の一次生産の大部分を担っている。

とくに春先や栄養豊富な環境では、
珪藻ブルームが起こり、
短期間で大量の有機物が生産される。

この生産が、
動物プランクトンを育て、
魚の世代を支えている。

珪藻は、
目立たないが、
水域の骨格をつくる存在だ。

⚖️ 4. 食べられる設計としての珪藻

硬い殻を持つ珪藻は、
一見すると、
食べにくい存在に思える。

しかし実際には、
多くの動物プランクトンが、
珪藻を主な餌としている。

殻は、
完全な防御ではなく、
食べられすぎないための調整装置として働く。

この「ほどよさ」が、
珪藻を長期的な優占種にしている。

🌙 詩的一行

透明な殻の内側で、海はつくられていた。

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