顕微鏡の視野に、
規則正しい線と模様が現れる。
透明で、硬く、
まるで精巧な器のような形。
それが、珪藻と呼ばれる植物プランクトンだ。
目立たず、名も知られない存在だが、
海や湖の姿は、
この「ガラスの藻」によって形づくられている。
🧾 基礎情報
- 和名:珪藻類
- 英名:Diatoms
- 学名:Bacillariophyta(代表的分類群)
- 分類:真核生物/藻類
- 区分:植物プランクトン(生活様式)
- 分布:全球(海洋・淡水)
- 生息環境:表層の有光層、沿岸〜外洋、湖沼・河川
- サイズ:数µm〜数百µm
- 栄養様式:光合成(一次生産者)
- 増え方:細胞分裂/条件によりブルーム
- 移動:基本的に浮遊(流れ・混合に依存)
- 捕食者:動物プランクトン(カイアシ類など)
- 観察のヒント:採水・顕微鏡観察、沈殿試料
🌱 目次
🔬 1. 珪藻とは何者か
珪藻は、
植物プランクトンの中でも、
最も広く分布し、最も量が多いグループのひとつだ。
海でも淡水でも、
光が届き、栄養があれば、
ほぼ必ず珪藻が現れる。
その存在感は、
派手さではなく、
量と安定性によって示される。
🧱 2. ガラスの殻という特徴
珪藻最大の特徴は、
二枚貝のように組み合わさった殻を持つことだ。
この殻は、
ケイ酸を主成分とするガラス質で、
非常に硬く、精密な模様を持つ。
- 捕食されにくい
- 形によって沈下を遅らせる
- 分裂時に必ず継承される
殻は防御であると同時に、
珪藻の生活史そのものを規定する構造だ。
🌊 3. 水域を支配する一次生産者
珪藻は、
水域の一次生産の大部分を担っている。
とくに春先や栄養豊富な環境では、
珪藻ブルームが起こり、
短期間で大量の有機物が生産される。
この生産が、
動物プランクトンを育て、
魚の世代を支えている。
珪藻は、
目立たないが、
水域の骨格をつくる存在だ。
⚖️ 4. 食べられる設計としての珪藻
硬い殻を持つ珪藻は、
一見すると、
食べにくい存在に思える。
しかし実際には、
多くの動物プランクトンが、
珪藻を主な餌としている。
殻は、
完全な防御ではなく、
食べられすぎないための調整装置として働く。
この「ほどよさ」が、
珪藻を長期的な優占種にしている。
🌙 詩的一行
透明な殻の内側で、海はつくられていた。
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