🦌シカ7:ツシマジカ ― 島の境界に生きる影 ―

シカシリーズ

― 島の境界に生きる影 ―


📘分類・基礎情報

  • 分類:哺乳綱 ウシ目(偶蹄目) シカ科
  • 和名:ツシマジカ(対馬鹿)
  • 学名:Cervus nippon pulchellus
  • 分布:長崎県・対馬のみ。固有亜種で、島全域に小規模な群れとして生息。
  • 体長:オス約140cm/メス約120cm前後
  • 体重:オス60〜80kg/メス40〜50kg
  • 食性:草・木の葉・果実などを食べる草食性
  • 特徴:やや小型で、毛色は濃く、尾が短い。生息地の分断や交通被害により、個体数は減少傾向。

海に囲まれた島、風が海峡を越えて吹く。
ツシマジカ――国境の島に生きる静かな影。
山を渡り、谷を抜け、霧の中に消えていく。
その姿には、人と自然のあいだを生きる緊張が漂っている。


🌾目次


🌿 姿 ― 対馬の森を歩く小さな鹿

ツシマジカは、九州と朝鮮半島の間に浮かぶ島に生きる。
その姿は小柄で、濃い毛並みが特徴。
森の中で静かに暮らし、木の芽や草を食べながら、
島のリズムに合わせて生きている。


🌊 島の環境 ― 限られた生態系の中で

対馬の森は急峻で、土地が限られている。
開発や道路建設により生息地が分断され、
ツシマジカは群れを分けて細々と生きるようになった。
それでも、彼らは風と森を頼りに静かに暮らしを続けている。


🏞 人との共存 ― 境界を越える命

ツシマジカは、古くから“島の神の使い”とも呼ばれた。
今では保護の対象となり、研究と管理のもとで生きている。
島という閉ざされた環境の中で、人と鹿の共生は試され続けている。
その姿は、国境や種の枠を越える「いのちの橋」のようだ。


🌙 詩的一行

風の渡る島で、静かな鼓動が聞こえる。


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