南の森では、春になっても色が変わらない。
けれどその中で、若い葉と古い葉が入れ替わる。
森は、途切れずに新しくなっていく。
🌿 静かな世代交代
常緑樹の葉は、春に一斉に落ちるわけではない。
古い葉が静かに黄ばみ、
そのすぐ隣で新しい葉がのびてくる。
森全体が、ひと息のように呼吸している。
コナラの森が「再生」なら、
シイカシの森は「継続」。
光を落とさずに次へと渡す、
それが常緑のリズムだ。
🌾 老木の記憶
老木の幹には苔がつき、
幹の割れ目に小さな芽が育つ。
その根のまわりには若木が立ち、
世代が重なって森を形づくる。
老木は倒れても、すぐに土へ戻らない。
硬い幹がゆっくり崩れ、
その上で新しい苗が生まれる。
森は、死の上に立つ時間を持っている。
🍃 若葉の光
若葉は、古い葉よりも薄く、柔らかい。
光をよく通し、森に明るさを与える。
それが一年のうちで最も短い季節、
南の森の“静かな春”だ。
やがて若葉は厚みを増し、
また一年の森を支える。
変わらないように見える森の中で、
常に入れ替わりが起きている。
🌙 詩的一行
森は、少しずつ若返りながら続いている。
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