風に揺れても、葉は光をはじかない。
厚く光るその面は、雨を流し、太陽を受けとめ、
森の呼吸をゆるやかに続けている。
🌿 厚い葉の理由
シイやカシの葉は、ほかの木よりも厚く硬い。
表面はワックスのように滑らかで、水を弾き、
裏には細かな毛があり、湿度を保つ。
それは、強い日射と雨に耐えるための鎧。
南の森では、光と水が“過剰”なのだ。
厚い葉は、蒸散を抑え、細胞の水を守る。
冬でも落ちず、二年を生きる。
その一枚の中に、季節の記憶が重なっている。
☀ 光を受ける技
照葉樹の葉は、光を反射しながら、
わずかに内部で光を散らして吸収する。
その角度は木ごとに違い、
森全体が一つの巨大な反射板のように働いている。
重なり合う葉が影を生み、
その影の中に小さな光が無数に落ちる。
南の森は、光を“跳ね返す”ことで、
自分の温度を保っているのだ。
🍃 森の皮膚
葉の集まりは、森にとって皮膚のようなもの。
風を感じ、水を受け、外界と内側を分ける。
落葉樹の森が呼吸を“変化”で示すなら、
常緑樹の森は呼吸を“持続”で表す。
葉が光るとき、森の体温がわかる。
一枚の葉の上に、
太陽と水と風がめぐり、
そのたびに森はすこしだけ形を変える。
🌙 詩的一行
光は、葉の上で森になる。
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