石段をのぼると、空気が変わる。
光がやわらぎ、風が遅くなる。
その静けさの中に、
シラカシの葉がゆれている。
🌿 神社の森に立つ木
シラカシは、社叢(しゃそう)と呼ばれる神社の森を代表する木。
冬でも緑を失わず、雨をはじき、
その陰に神域の空気をつくる。
人々がこの木を植えたのは、
永遠に枯れぬ森をつくるため。
葉の光沢と静かな姿が、
神の座を守る木としてふさわしかった。
🍃 常緑の祈り
落葉樹の森が“生と再生”の象徴なら、
常緑樹の森は“続く命”の象徴。
神社の森がいつも緑であるのは、
そこに“絶えない祈り”を映しているからだ。
葉が光を受けるたび、
人は自然の中に神を見る。
シラカシは、その媒介となる木。
🌾 静けさの力
シラカシの葉は厚く、風を柔らかく受ける。
そのため森の中では音が吸い込まれ、
静けさが濃くなる。
参道に響く足音や、鳥の声さえも遠く感じる。
この“静けさ”こそが、
森の祈りそのもの。
🌙 詩的一行
緑の陰は、祈りの形をしている。
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