🦆潜水ガモ11:採餌と潜水 ― 湖底の食卓|水の中の戦略

潜水カモ

― 水の下には、もうひとつの世界がある ―

潜水ガモたちは、空を飛ぶ鳥でありながら、水の中でも自在に動く。 彼らにとって「潜る」とは、生きるための行為であり、食べることそのもの。 冬の湖や湾の底、そこには彼らだけの食卓が広がっている。


🌾目次


🌱 潜水の仕組み ― 水に沈むための体

潜水ガモの体は、潜るためのデザインだ。 骨は他の鳥よりも重く、肺の容量は小さい。 浮力を抑えることで、水中でのバランスが安定する。 脚は体の後方にあり、潜るときの推進力を生み出す。

羽毛には防水性があり、羽の間の空気を調整して浮き沈みをコントロールする。 潜水前に「すっと」水面に沈む瞬間、その仕草は驚くほど滑らかだ。


🌿 採餌の方法 ― 食べ物に合わせた潜り方

潜水ガモといっても、潜り方には違いがある。 ホシハジロやスズガモは湖底で貝を掘り、 カワアイサやウミアイサは魚を追い、 ホオジロガモは水生昆虫を探す。 それぞれが食べ物に合わせて潜る時間と深さを変えている。

浅瀬では10秒、深い海辺では30秒。 その差は、彼らの生活の幅そのものを物語る。


🔥 種ごとの潜水パターン

種名主な食性潜水時間潜水深度
キンクロハジロ貝類・昆虫10〜20秒2〜3m
ホシハジロ貝類・植物15〜25秒3〜5m
スズガモ貝類・甲殻類20〜30秒〜5m
カワアイサ魚類20〜35秒2〜4m(流れのある川)
ウミアイサ魚類・エビ類25〜35秒〜6m(沿岸域)
ホオジロガモ水生昆虫・貝類15〜25秒2〜3m

数字だけを見ると単調に思えるが、 潜水のひとつひとつに、生きる工夫と環境への適応が詰まっている。


💧 湖底の食卓 ― 魚・貝・昆虫たち

潜水ガモの食卓は、目に見えない世界に広がる。 泥に潜む貝、流れに漂うエビ、沈んだ落ち葉の中の幼虫。 彼らはそれを嘴で感じ取り、水中で器用に食べる。 魚を追うもの、貝を掘るもの、泥を探るもの―― それぞれの採餌が、湖底に小さな循環を生んでいる。

水の中で広がるその世界は、 私たちがまだ知らない「静かな森」のようなものだ。


🌙 詩的一行

水の底にも、空と同じ光がある。


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