海氷が早く割れる年 ― 北極海で続く“足場の消失”(2025年11月20日)

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北極海の海氷に、今年は異変が起きている。
例年よりも早い時期に広範囲で氷割れが観測され、海鳥たちが繁殖に使う“氷上の足場”が失われつつあるという。

研究チームによれば、割れた氷の分布は例年より北へ偏っており、
本来であれば安定した氷が残るはずの地域でも崩壊が進んでいる。
気候変動に伴う海水温の上昇と、風のパターンの変化が重なった可能性が指摘されている。

■ 影響を受ける海鳥たち

北極の海鳥は、海氷上を繁殖・休息の場として利用している。
特にウミスズメ類・カモメ類などは、ひび割れた氷の隙間に巣を構えることができず、
餌を採りに行く往復距離も伸びてしまう。

研究者は「氷の崩壊は、鳥たちの体力消耗につながり、繁殖の成功率を下げる恐れがある」と警告する。

■ 海氷は“生き物の道”でもある

私たちが見る“氷の大地”は、実は多くの生き物のための道であり、狩場であり、揺りかごだ。
ホッキョクグマやアザラシだけでなく、海鳥もまたこの氷を頼りに生きている。

海氷の減少は、ゆっくり進むように見えて、ある年に突然“閾値”を越えることがある。
今年の急激な氷割れは、その兆しの一つかもしれない。

極北の夜明け前、砕けた氷のあいだから冷たい海が顔を出す。
その上を、行き場を探す海鳥たちが何度も旋回していたという。

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出典:Polar Research News(2025年11月)/International Arctic Studies

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