森の奥でまだ続く物語 ― アマゾンで新種サル4種を発見(2025年11月21日)

世界のNEWS

南米アマゾン。世界最大の熱帯雨林の中でも、人がほとんど踏み入ったことのない地域がある。
その深い森で、研究チームが新種のサル4種を確認した。

調査が行われたのはブラジル北部の未踏査域。
衛星画像で“手つかずの森”として残された一帯を歩き、
観察・音声解析・糞DNAの解析を組み合わせることで、これまで知られていなかった4種のサルを特定した。

アマゾンでは長年、大型哺乳類の新発見は少ないと言われてきた。
しかし今回の結果は、「まだ発見されていない多様性が森の奥に残されている」ことを静かに示している。

■ 研究チームが用いた“音と遺伝子”の手法

発見された4種は、外見の差が小さく、視覚だけでは識別が難しい。
そこで研究者たちは、鳴き声の周波数解析と、森林に落ちた糞DNAを解析する方法を組み合わせた。

音の違いは群れごとの境界を示し、
DNAは進化の距離を示す。
この2つが重なったところに“新種”の証拠が浮かび上がった。

■ 森林伐採地の縁で見つかった“最後のゆりかご”

調査地域の周辺では、アマゾンで続く森林伐採や道路建設が進んでいる。
それでも、深い森の奥にはまだ手つかずの小さな生息地が残り、
そこでサルたちは独自の進化を続けていた。

研究チームは「この地域は、残された生物多様性のゆりかごだ」と語る。
新種の発見は嬉しい知らせであると同時に、失われつつある森を守る緊急性を示している。

夕暮れのアマゾンで、細い枝を渡る小さな影。
その一つひとつに、まだ名前のついていない物語がある。

🌍 せいかつ生き物図鑑・世界編
― 変わりゆく地球を見つめる観察記 ―

出典:国際研究チーム報道発表(2025年11月)/Science News Outlets

🌎前回の記事→世界の取引と生き物たち ― ワシントン条約第20回締約国会議へ

📖 他の記事はこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました