🐒 サル12:食性と採食 ― 果実・葉・虫・木の実 ―

サルシリーズ

― サルは「雑食」という一言ではまとめきれないほど、複雑で柔らかい採食の世界を持っている。
果実を追って森を移動し、葉を慎重に選び、季節が変われば虫を探し、木の実を割る音が森に響く。
それぞれの環境・体のつくり・社会によって、食べ方も食べ物の種類も変化し続ける。

ここでは、サルの食性がどのように成り立ち、環境とどんな関係を持つのかを見ていく。
食べ物はサルの行動を決め、社会を形づくり、森の循環にも影響を与える――生態の核心に触れる章である。

🐒目次

🍎 1. 果実食 ― 森をめぐる主要なエネルギー

多くのサルにとって、果実は最も重要なエネルギー源だ。
甘みと栄養価が高く、季節による変動はあるものの、果実を求めて群れが移動することも多い。

  • 果実中心のサル: クモザル・ニシゴリラの一部時期・マカク類など
  • 旬を追う移動: 樹冠を渡り果実の“波”を追う
  • 森との関係: 種子散布者として重要な役割を持つ

果実が豊富な地域では行動範囲が狭く、細かい“採食選択”が見られる。

🍃 2. 葉と芽 ― 消化の工夫と選択眼

葉食(フォリボリー)を多く行う種もいる。
葉は栄養が安定している一方、繊維質が多く消化には時間がかかる。

  • 葉を多く食べる種: コロブス類・ゴリラなど
  • 消化の工夫: 大きな胃・腸・発酵を利用するしくみ
  • 選択の知恵: 若葉・毒の少ない部位を選ぶ

食べ方が体の形・生活リズムを変え、行動範囲にも影響する。

🐛 3. 昆虫食 ― タンパク源としての小さな獲物

昆虫は小さくても貴重なタンパク源だ。多くのサルは季節的に昆虫を利用する。

  • アリ釣り: チンパンジーなどが枝を使って採集
  • 樹皮はぎ: 木の隙間から虫を探し出す
  • 季節変動: 雨季の昆虫爆発に合わせて採食量が増える

道具使用と結びつくこともあり、学習によって技が伝わる。

🌰 4. 種子・木の実 ― 道具使用と採食の知恵

硬い種子や木の実は、力や技が必要な“難しい食べ物”だが、多くのサルはこれをうまく利用している。

  • 石で割る: チンパンジー・カポチンモンキーなど
  • 強い顎: サキ類は硬い種子を噛み砕く
  • 調達の工夫: 乾季に頼る重要なエネルギー源

種子や木の実への依存は、社会行動や移動パターンとも深く関係している。

🌙 詩的一行

ひとつの実を噛む音の奥に、森をめぐる季節の気配が静かにしずんでいく。

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