🪶 サギ21:「詐欺」のサギ ― 言葉にされた鳥 ―

サギシリーズ

最初に、はっきりさせておきたいことがある。

鳥としてのサギの正しい漢字は「鷺」であり、
「詐欺」とは本来、まったく別の言葉だ。

水辺に立つ鷺という鳥が、
人をだます行為と直接結びついているわけではない。

それでも、言葉の中では二つが重ねられ、
誤解が広がってきた。

この回では、
鷺という鳥が、どのように言葉の中で別の意味を背負わされてきたのかを、
整理して見ていく。

🪶 目次

🗣️ 1. 鷺と詐欺 ― 漢字と意味の違い

鳥のサギは、「鷺」と書く。
これは古くから使われてきた、生き物としての漢字だ。

一方、
人をだます行為を指す「詐欺」は、
法律・社会用語として成立した言葉であり、
本来は鳥とは無関係である。

音が同じであること、
当て字や比喩的な連想によって、
二つは結びつけられるようになった。

だが、
意味の出発点は完全に別だ。

👁️ 2. 鷺の行動と人の解釈

鷺は、水辺で長くじっと立ち、
獲物が射程に入った瞬間に動く。

この行動は、
生きるための合理的な捕食方法だ。

しかし人の目には、
「動かない → 油断させる → 突然奪う」
という印象として映った。

そこから、
ずるさや欺きといった意味が、
後づけで重ねられていった可能性がある。

だがそれは、
人の解釈であって、鷺の性質ではない

📖 3. 民話・俗信の中の鷺像

民話や説話の中では、
鷺は賢い鳥としても、
人を惑わす存在としても描かれてきた。

自然の行動が理解されないとき、
人は物語によって意味を補う。

説明できない動きは、
知恵や策略として語られやすい。

鷺は、
その投影を受けやすい姿をしていた。

⚖️ 4. 言葉が生き物を歪めるとき

現代では、
「詐欺」は明確に人の行為を指す言葉だ。

鳥の鷺と結びつけて考える必要はない。

それでも、
言葉が生き物のイメージを借りて、
意味を広げてきた歴史は残っている。

鷺は、
意味を選んだのではなく、
意味を背負わされた存在だ。

🌾 詩的一行

鷺は、言葉に誤解されても、水辺での生き方を変えない。

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