🐟サバ20：未来への記憶 ― 海と人のあいだ ―

― 海と人のあいだ ―

海を見つめるとき、私たちは過去を見ている。
そこには、無数の命の軌跡と、人の営みの記憶がある。
サバの群れが去り、また戻るように、
海と人の関係もまた、終わりのない循環の中にある。

🌾目次

海は、古い記憶の層のように重なっている。
魚たちの軌跡、人の声、風の流れ。
そのすべてが、目には見えないまま残り続けている。
未来とは、過去の記憶が形を変えて現れる場所なのかもしれない。

人は海から生まれ、海に還る。
その間に、魚を食べ、祈り、歌を詠み、物語を残す。
命の循環とは、終わりではなく「受け継ぐ」こと。
サバが泳ぐたび、海はそのリズムで世界をつなぎ直している。

未来は、まだ見ぬ海の底に眠っている。
けれど、その光はすでに私たちの中にある。
海を忘れないこと――それが、この星で生きる知恵。
命は形を変えながら、いつも海へ帰っていく。

海は今日も、未来の記憶を育てている。