リス5:タイワンリス ― 南の森を駆ける ―

リスシリーズ

南西諸島の森や都市の公園に、
灰色がかった大きなリスが駆け抜ける。
それが外来種のタイワンリス。
台湾原産で、人の移動とともに日本へ渡った。

その存在は、いまの森が抱える変化を映している。


📚 基礎情報

  • 分類:哺乳綱 齧歯目 リス科 タイワンリス属
  • 学名Callosciurus erythraeus
  • 分布:台湾、中国南部、東南アジア/日本では伊豆大島・鎌倉・静岡・九州南部など外来分布
  • 生息環境:常緑広葉樹林・都市公園・寺社林など
  • 体長・体重:体長約20〜26cm/尾長20〜25cm/体重約400〜600g
  • 形態特徴:灰褐色〜黒褐色。体格が大きく尾も太い。耳房は発達しない。
  • 食性:果実、種子、樹皮、昆虫など。樹皮剥ぎによる被害報告あり。
  • 繁殖:年2回(春・秋)に繁殖。1回に2〜4頭を出産。
  • 行動(活動時間・習性):昼行性。群れを形成することもある。樹皮剥ぎ行動が特徴。
  • 役割(生態系での位置):外来種として森林・在来生物に影響を及ぼす。
  • 保全・脅威:外来指定種。防除・個体管理が行われている地域あり。
  • 観察のヒント:大きな体と長い尾。木の皮が剥がれた跡や、活発な鳴き声で存在を確認できる。

目次
🌿 外来としての来歴
🌾 南の森の暮らし
🍃 人と森への影響
🌙 詩的一行


🌿 外来としての来歴

タイワンリスは台湾からペットや観賞目的で持ち込まれ、
野外に放たれた個体が定着した。
温暖な地域に適応し、各地で繁殖を続けている。
分布域の拡大は、森の構成そのものを変えつつある。


🌾 南の森の暮らし

常緑の森で果実や種子を食べ、
樹皮を剥いで中の形成層を食べる習性をもつ。
木の被害は大きいが、
その行動は生存のための工夫でもある。
気候に恵まれた地域では、繁殖期が長い。


🍃 人と森への影響

在来リスとの競合、果樹や樹木への食害、
生態系の変化などが報告されている。
一方で、その活動が都市の自然を豊かにする側面もある。
人と森のあいだで、共存の形が問われている。


🌙 詩的一行

外から来た影も、森の時間の一部になる。


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