リス4:エゾリス ― 雪と針葉樹のあいだで ―

リスシリーズ

北海道の森には、雪の中でも動き続けるリスがいる。
針葉樹の枝を伝い、白い地面に影を落としながら、
冬の森の時間を生きる小さな哺乳類。
それがエゾリスだ。


📚 基礎情報

  • 分類:哺乳綱 齧歯目 リス科 リス属
  • 学名Sciurus vulgaris orientis
  • 分布:北海道全域および周辺の島嶼
  • 生息環境:針葉樹林・混交林・公園林など、積雪期を含む寒冷地域
  • 体長・体重:体長20〜25cm/尾長15〜20cm/体重約300〜400g
  • 形態特徴:灰褐色〜暗褐色で季節変化あり。冬は耳房と尾毛が発達。
  • 食性:松ぼっくり・トドマツやエゾマツの種子、ドングリ、クルミ、キノコなど。
  • 繁殖:年2回前後。春と初夏に出産(1回あたり2〜6頭)。
  • 行動(活動時間・習性):昼行性。積雪期も活動し、巣間を往復。冬眠しない。
  • 役割(生態系での位置):針葉樹の種子散布・捕食者への餌資源として機能。
  • 保全・脅威:森林伐採・都市化・交通事故。北海道では安定分布。
  • 観察のヒント:早朝や夕方、松の木の下の食痕(松ぼっくりの芯状残骸)を探す。

目次
🌿 雪に生きる体
🌾 冬の暮らし
🍃 針葉樹の森とともに
🌙 詩的一行


🌿 雪に生きる体

エゾリスの被毛は冬になると厚く、柔らかく変わる。
耳の房毛と尾の毛が長く伸び、冷気を遮る。
足裏には毛が生え、雪の上でも沈みにくい。
寒さに耐える体は、北の森に完全に適応している。


🌾 冬の暮らし

積雪期でもエゾリスは活動を止めない。
秋に貯えた松ぼっくりやクルミを雪の下から掘り出し、
巣穴や倒木の陰で食べる。
巣は樹洞や枝上にあり、苔や樹皮を敷いて断熱する。


🍃 針葉樹の森とともに

エゾリスはトドマツやエゾマツの種を広げ、森の更新を助ける。
捕食者(フクロウ・テン)との関係も、北の生態系を形づくる。
雪の森で動く姿は、冬そのものの生命力を映している。


🌙 詩的一行

雪の森を駆ける影は、静けさのかたち。


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