ラッコは、海にいる。
だが、完全な海の生き物ではない。
陸を捨てきれず、
それでも陸には戻らず、
水面という不安定な場所に身を預けてきた。
この最終話では、
ラッコを象徴や比喩に回収するのではなく、
どのような条件のもとで生きてきた生き物なのかを振り返る。
🦦 目次
🌊 1. 海に入った哺乳類として
ラッコは、
哺乳類の中でも特異な選択をした。
厚い脂肪層を発達させることなく、
密な毛皮に空気を含ませて体温を保つ。
陸に上がって休むことはなく、
眠りも、食事も、子育ても、
すべてを水面で行う。
それは、
完全な海洋適応というより、
成立する限界を見極めた形だった。
⚖️ 2. 強さと脆さのあいだ
ラッコは、
道具を使い、
硬い殻を割り、
厳しい環境で生き延びる力を持つ。
一方で、
毛皮が汚れれば命に関わり、
餌が途切れれば体力は急速に落ちる。
この生き物は、
強いから生き残ったのでも、
弱いから守られてきたのでもない。
条件がそろっているあいだだけ成立する存在として、
海に留まってきた。
👣 3. 人との距離の揺れ
ラッコは、
長いあいだ人と距離を保っていた。
生活圏が重なり、
資源として利用され、
やがて商品として数えられる。
そして、
姿を消しかけたあと、
保護され、展示され、語られる存在になった。
近すぎた時代と、
遠ざけられた現在。
ラッコは、
人との関係が変わるたびに、
別の意味を背負わされてきた。
🔍 4. ラッコが示しているもの
ラッコは、
環境を救う象徴ではない。
だが、
ラッコが生きられる海は、
多くの生き物が生きられる海でもある。
いなくなれば、
何かが壊れ、
戻れば、
何かが組み直される。
ラッコは、
海の状態を測るための、
静かな指標として存在している。
🦦 詩的一行
ラッコは、境界にとどまり続けたことで、海の変化を映してきた。
コメント