🐓ニワトリ6：比内地鶏 ― 北の森で育つ強い血統 ―

― 冬の森を歩くような静けさをまとい、落ち着いた眼差しで周囲を見つめる比内地鶏。北国の気候に鍛えられた体と、ゆっくり育つ血統が、この鳥の“強さ”と“旨味”をつくってきた。寒さに耐え、土地の暮らしとともに歩んできた在来の姿がそこにある ―

比内地鶏は、秋田県北部の寒冷地で古くから飼われてきた在来種だ。凍てつく空気の中で育つため、体が引き締まり、赤身の旨味が濃い。火を入れても崩れず、だしも深い香りを持つため、料理人から高い評価を受け続けている。

🐓目次

比内地鶏は寒さに強く、冬が長い地域でもしっかりと育つ。体は締まり、筋肉質で、無駄のない体つきが特徴だ。寒さの中でゆっくり育つため、筋繊維が強く、濃い旨味がそのまま肉に宿る。

冷たい風が吹く土地で鍛えられた“北ならではの強さ”がある。

比内地鶏の肉は、旨味が強く、火を入れても締まりが保たれる。特にだしの評価は高く、比内地鶏スープやきりたんぽ鍋で知られるように、深い香りとコクを生む。

料理人に愛される理由は、味わいの“芯”が確かだからだ。

比内地鶏は、名古屋コーチンよりやや野性味があり、周囲をよく観察する慎重な気質がある。動きは穏やかで、地面をしっかり歩き、餌を選ぶようについばむ姿が見られる。

北国の静かな森の空気を、そのまま体にまとったような品種だ。

比内地鶏の歴史は古く、農村の庭先鶏として長く愛されてきた。昭和に入り一度は絶滅の危機に瀕したが、地域の人々の努力によって血統が守られ、現在は「日本三大地鶏」として評価されている。

地域の暮らしと努力が、この品種を未来へつないできた。

凍える風の中で育つ体が、静かに旨味の芯を深めていく。