― 朝の光が差し込むころ、鶏小屋の奥から「コッ…」という小さな声が聞こえる。その体の奥では、前日から続く“卵の旅”が終わりに近づいている。黄身がつくられ、白身が重なり、殻がまとわれ、一つの卵として姿をととのえていく ―
ニワトリの卵は、約24〜26時間かけて体内で形成される。黄身が卵巣で生まれ、輸卵管で白身と殻が重ねられ、最後に殻の色がつく。毎日同じように見える卵にも、体の中を通る長い工程がある。ここではその道のりを整理する。
🐓目次
- 🥚 1. 黄身が生まれる ― 卵巣で始まる一日の旅
- 🤍 2. 白身が重なる ― 輸卵管で起こる層づくり
- 🟤 3. 殻が形成される ― 炭酸カルシウムが積み重なる
- 🎨 4. 殻の色がつく ― 最後に行われる“着色”
- 🌙 詩的一行
🥚 1. 黄身が生まれる ― 卵巣で始まる一日の旅
卵の中心となる黄身(卵黄)は、卵巣の中で少しずつ育つ。やがて排卵され、輸卵管へ送り出される。黄身は脂質を豊富に含み、雛のエネルギー源となる部分だ。
- 卵巣で複数の黄身が育ち、順番に排卵される
- 排卵された黄身が輸卵管へ進むことで卵形成が始まる
- 黄身は雛の栄養源となる大切な部分
すべての卵は、この小さな黄身の誕生から始まる。
🤍 2. 白身が重なる ― 輸卵管で起こる層づくり
黄身が輸卵管に入ると、卵白(白身)が少しずつ重なっていく。粘度の異なる層が巻きつくように形成され、外側を守るクッションになる。
- 輸卵管の途中で卵白が分泌される
- 薄い層・濃い層が交互に重なり卵を包む
- 外部衝撃から守るための“層構造”
白身は、卵の旅を守る柔らかな鎧のような存在だ。
🟤 3. 殻が形成される ― 炭酸カルシウムが積み重なる
輸卵管の後半では、殻がゆっくりと作られる。炭酸カルシウムが結晶化し、硬さを形づくる。最も時間がかかる工程で、全体の多くを占める。
- 殻の主成分は炭酸カルシウム
- 数時間かけて結晶が積層して硬さを生む
- 殻膜(うすい膜)も同時に形成される
静かに積み重なる結晶が、卵の外側を支えている。
🎨 4. 殻の色がつく ― 最後に行われる“着色”
殻の色(茶色・クリーム色など)は、殻の表面に色素が分泌されることでつく。白色レグホーンのように色がつかない場合もある。
- 殻の色は殻の外側に分泌される色素で決まる
- 茶色卵:プロトポルフィリンなどの色素
- 白卵:着色が行われないタイプ
卵の仕上げとして、個性がそっと加えられる工程だ。
🌙 詩的一行
長い旅を終えた卵が、朝の静けさの中でそっと形を結ぶ。
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