🐓ニワトリ10:烏骨鶏(ウコッケイ) ― 黒い皮膚と白い羽の不思議 ―

ニワトリシリーズ

― 白い羽の下に、黒い皮膚と骨を隠し持つ烏骨鶏。その姿は、静けさの中に不思議な深さを宿している。長い冠羽、柔らかな体羽、独特の存在感。古くから“特別な鶏”として語られてきた理由が、ゆっくりと伝わってくる ―

  • 分類:キジ目キジ科
  • 品種名:烏骨鶏(Silkie / Ukokkei)
  • 原産地:中国南部とされる(日本では古くから飼育)
  • 用途:卵用・観賞用(薬膳・滋養食文化にも関わる)
  • 体重:雄 約1.8kg/雌 約1.4kg
  • 特徴:黒い皮膚と骨、絹のように柔らかい羽、青い耳朶、温和な気質

烏骨鶏は、白い羽色と黒い皮膚の強い対比から“神秘的”とさえ表現される品種だ。羽は綿のように柔らかく、風を通すとふわりと揺れる。雌の抱卵性が高く、古来より家庭で“卵を温める名手”としても重宝されてきた。

🐓目次

🖤 1. 黒い皮膚と骨 ― 稀少な遺伝形質

烏骨鶏の最大の特徴である“黒さ”は、皮膚・筋肉・骨にまで広がる特殊な遺伝形質によるものだ。外見の白さとの対比が強く、他の品種には見られない独特の雰囲気を持つ。

  • 皮膚・骨・肉が黒色を帯びる遺伝形質
  • 見た目の白さが“黒い体”を際立てる
  • 世界的にも珍しい特殊形質として知られる

羽だけでなく“体そのもの”が特徴になる、稀有な存在だ。

🪶 2. 絹のような羽 ― 綿毛状の独特の質感

烏骨鶏の羽は、他の鶏と異なり“綿毛状”に分かれているため、まるで絹糸の束のような柔らかさを持つ。風が吹くと丸みを保った体つきのままふわりと揺れ、独特の可愛らしさがある。

  • 羽軸が細く、綿毛が多い“シルキータイプ”
  • 風を含むふわふわした質感
  • 観賞鶏として高い人気を持つ外見性

触れればすぐにわかる、“柔らかい鳥”としての個性が際立つ。

🥚 3. 温和な気質と抱卵性 ― “育てる鳥”としての特徴

烏骨鶏は非常に温和で、群れの中でも争いが少ない。また、抱卵性が高く、昔から他の品種の卵を抱かせる“抱き母鶏”としても重宝されてきた。

  • 温厚で人に慣れやすい
  • 抱卵性が強く、育てる力が高い
  • 家庭養鶏の歴史で重要な役割をもつ

静かな性格が、この品種の“家庭鶏としての価値”をより高めてきた。

📜 4. 古来の文化と薬膳 ― 烏骨鶏が特別視されてきた理由

中国では古くから烏骨鶏が滋養食・薬膳素材として珍重され、日本でも健康食として扱われてきた。また、その見た目と性質から、観賞・縁起物としての文化も重なる。

  • 薬膳文化で“滋養の鶏”として扱われる
  • 歴史的に国内外で高い珍重価値
  • 白と黒の対比が“吉祥の象徴”とされた地域も

単なる鶏ではなく“価値をもった存在”として長い時間を歩んできた。

🌙 詩的一行

白い羽が揺れるたび、その奥にある深い黒がそっと息をする。

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