ネズミの暮らしは、派手ではない。特別な行動も、大きな移動もない。ただ、食べ、動き、増え、そして姿を消す。その繰り返しが、長い時間をかけて世界の隅々に定着してきた。
ネズミの生態は、「一匹がどう生きるか」よりも、「種としてどう途切れないか」に重心がある。食性、活動時間、繁殖、寿命。そのすべてが、短く小さな生を支えるために組み合わされている。
🎐目次
🍽️ 1. 食性 ― 何でも少しずつ利用する
ネズミの多くは雑食性だ。植物の種子や穀物だけでなく、昆虫、果実、時には動物性のたんぱく質も口にする。
- 主な食物:種子、穀物、草、果実。
- 補助的食物:昆虫、死骸、残飯。
- 特徴:一度に大量は食べない。
ネズミは環境を選り好みしない。少しずつ、繰り返し食べることで、危険を最小限に抑える。この慎重さが、都市や農地でも生き延びる鍵になっている。
🌙 2. 活動時間 ― 夜に動くという選択
ネズミの多くは夜行性、あるいは薄明薄暮性だ。これは捕食者との遭遇を避けるための行動だ。
- 夜間活動:視覚に頼らない行動。
- 昼間:巣穴や隠れ場所で休息。
- 柔軟性:環境によって時間帯を変える。
完全な夜の生き物ではない。人の活動が多い場所では、わずかな隙を見て動く。時間すらも、ネズミにとっては調整可能な資源だ。
🐣 3. 繁殖 ― 失われることを前提に増える
ネズミの繁殖力はよく知られている。それは「増えすぎる」ためではなく、「減ること」を前提にしているからだ。
- 妊娠期間:約3週間。
- 一度の出産:数匹〜十数匹。
- 成熟:生後数か月で繁殖可能。
多くが捕食され、環境変化で失われる。それでも系統が続くように、次の世代がすぐに現れる。ネズミの繁殖は、個体よりも連続を重視した仕組みだ。
⏳ 4. 寿命と世代交代 ― 短さが支える連続
野生のネズミの寿命は短い。多くは1年から数年で一生を終える。
- 寿命:野生では1〜2年程度。
- 死亡要因:捕食、病気、事故。
- 世代交代:非常に速い。
寿命の短さは弱点ではない。世代交代が早いことで、環境変化に適応しやすくなる。ネズミは「長く生きる」よりも「続く」ことを選んできた。
🌙 詩的一行
短い生が途切れず重なることで、ネズミの時間は続いている。
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