- 分類:ネコ科(Felidae)
- 和名:ツシマヤマネコ
- 学名:Prionailurus bengalensis euptilurus
- 分布:日本(対馬)
- 体長:45〜60 cm
- 体重:3〜5 kg
- 食性:ネズミ類、鳥類、カエル、昆虫
- 生息環境:森林、里山、農地周辺、河川付近
- 保全状況:環境省 絶滅危惧ⅠA類
対馬の山あいを歩くと、湿った落ち葉の上に小さな足跡が残っていることがある。 音もなく移動し、草むらの影にまぎれ、すぐに姿を消す。 その静けさは、同じベンガルヤマネコの仲間であっても、島という環境で育まれた独特の気配を持っている。
ツシマヤマネコは、日本における唯一の野生ネコ科動物だ。 対馬という島に閉じた分布を持ち、外界と隔てられた環境の中で、固有の生態を保ちながら生きてきた。
🐈目次
- 🌍 1. 外見と体つき ― 太い尾と丸みのある体型
- 🌿 2. 生息環境 ― 島の森が育てた行動圏
- 🎯 3. 食性と狩り ― 多様な獲物を捕らえる島の捕食者
- 🛡 4. 行動・気質 ― 慎重さと柔軟さをあわせ持つ
- 🌙 詩的一行
🌍 1. 外見と体つき ― 太い尾と丸みのある体型
ツシマヤマネコは、家猫よりやや小柄で、全体に丸みを帯びた印象を持つ。 尾は太く、はっきりとした輪状の模様が入り、顔つきは短めのマズルを持つ。
- 尾:太く短めで、黒い輪模様が特徴的
- 体型:筋肉質で、短い脚が安定した動きを支える
- 毛色:茶褐色の地に黒い斑や縞が入り、森の影に紛れやすい
- 眼:夜行性に適した大きな眼で、薄暗い環境でも動きを読む
体のつくりは、島の森林での生活に適応した“低姿勢の俊敏さ”を感じさせる。
🌿 2. 生息環境 ― 島の森が育てた行動圏
対馬は山が多く、谷と林道が入り組む島だ。 ツシマヤマネコは、この地形を巧みに利用しながら生息域を広げてきた。
- 森林:主な生活場所で、見通しの悪い場所に潜むことが多い
- 里山:人里近くの林や休耕地にも姿を見せる
- 河川周辺:水辺には両生類や小動物が集まり、採食に適している
- 行動圏:個体によって変わるが、数km²の範囲で移動することが多い
“森林・草地・農地”という多様な環境が混ざり合う島だからこそ、 ツシマヤマネコはさまざまな場所をつなぐように歩く。
🎯 3. 食性と狩り ― 多様な獲物を捕らえる島の捕食者
ツシマヤマネコは、対馬という島を生きるため、環境に応じた柔軟な食性を持っている。
- 主な獲物:ネズミ類(ヒメネズミ・ドブネズミなど)
- 水辺の獲物:カエル、魚、小型の水辺動物
- 鳥類:地上性の小鳥を狙うこともある
- 昆虫:季節によっては重要な栄養源
狩りの方法は家猫と同じく、 待ち伏せ→静かに接近→一瞬の飛びかかりという合理的な流れ。 島という限られた環境の中で、できるだけ幅広い餌を利用して生きている。
🛡 4. 行動・気質 ― 慎重さと柔軟さをあわせ持つ
ツシマヤマネコは、ヤマネコ類の中でもとくに警戒心が強い。 しかし、島の地形に合わせて行動パターンを柔軟に変える能力も持つ。
- 単独行動:常に単独で行動し、互いに距離を保つ
- 警戒の鋭さ:音・匂い・風向きに敏感で、危険回避を最優先
- 夜行性:人の活動が少ない時間帯に動きが増える
- 移動:森林・草地・河川を一筆書きのように巡回する
この慎重な気質が、島の中で生き残るための大きな鍵になっている。
🌙 詩的一行
山の影とともに歩く姿が、静かな道の奥へそっと続いていった。
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