【分類】イネ科コムギ属
【学名】Triticum spelta
【原産】中東〜ヨーロッパ
【特徴】脱粒しにくい殻付き小麦・古代種の形質を保持
【利用】パン、焼き菓子、全粒粉料理、伝統食
【耐性】冷涼地・やせた土壌でも育つ(環境適応が強い)
スペルト小麦は、もっとも古い時代の小麦の姿を残す「原始小麦」のひとつだ。
殻が固く粒を覆うため脱穀に手間がかかるが、
その分だけ風雨に強く、野生に近い性質を今もとどめている。
農耕が始まった頃から長く人に寄り添ってきた麦として、
近年は伝統的な味わいを求めて再び注目されている。
🕊️ 目次
🌾 古代小麦としての特徴 ― 殻と形質が残す原始性
スペルト小麦の最大の特徴は、粒が脱穀しにくい殻に包まれていることだ。
この構造は古代小麦に共通するもので、
強い雨や風から粒を守る「野性の名残」ともいえる。
粒の内部は栄養価が高く、ナッツのような風味を持つことから、
古代のパン作りにも使われてきた歴史がある。
🌍 環境適応力 ― やせ地でも育つ生命力
スペルト小麦は、痩せた土地や寒冷地でもしっかり育つ。
土壌の肥沃さに依存せず、冷涼な気候にも強いため、
中世ヨーロッパでは「貧しい土地の麦」として重宝された。
近代農業で主役の座を普通小麦に譲ったものの、
環境の幅広さという点では今も優れた性質を持っている。
🍞 伝統の味わい ― 現代で再評価される理由
スペルト小麦は、素朴で香りの良い味わいを持つことから、
パンや焼き菓子などでじわじわと人気が高まっている。
グルテンの性質は普通小麦ほど強くないが、
噛むほどに味が出る深い風味が特徴だ。
古代から続く味を求める動きや、伝統食への関心の高まりが、
この麦を現代に引き戻す力になっている。
🌙 詩的一行
固い殻の奥に、古い時代の風が静かに残っている。
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