大きな穂を実らせるトウモロコシは、野生の草原植物としての強さを持ちながらも、農地ではさまざまな害虫や病害に悩まされることがある。その多くは、甘さや柔らかさといった“家化”によって得た性質と引き換えに生じた弱点でもあり、人が穂を安定して収穫するためには、環境に合わせた管理が欠かせない。
特にアワノメイガの食害は世界的に問題で、幼虫が雌穂や茎に入り込むことで収量と品質に大きな影響を与える。また、病害も環境条件によって発生し、畑を広く覆う群落ゆえに蔓延しやすい側面がある。ここでは、害虫・病害の主な種類と、それに対する管理の工夫を見ていく。
🌽目次
- 🪲 1. アワノメイガ ― 世界的に問題となる主要害虫
- 🦠 2. 主な病害 ― 風雨と湿度が引き起こす症状
- 🛡️ 3. 防除の基本 ― 栽培管理と環境づくり
- 🌱 4. 抵抗性品種と輪作 ― 長く育てるための選択肢
- 🌙 詩的一行
🪲 1. アワノメイガ ― 世界的に問題となる主要害虫
アワノメイガ(ヨーロッパアワノメイガ)は、トウモロコシの害虫としてもっとも知られている。幼虫が茎や雌穂に侵入し、成長点や粒を食害するため、収量と品質の双方に影響が出る。
- 卵の産みつけ:葉の裏側などに卵をまとめて産む
- 幼虫の侵入:茎や穂に入り込み、内部を食べる
- 被害の広がり:風によって蛾が移動し、畑全体が被害を受けることも
一度内部に入られると薬剤では対処しにくく、事前の管理が何より重要になる。
🦠 2. 主な病害 ― 風雨と湿度が引き起こす症状
トウモロコシの病害は、気温や湿度、降雨の多さなど環境条件によって発生しやすい。特に群落栽培では風通しが悪くなると、病原菌が広がりやすい。
- ごま葉枯病:葉に暗い斑点が現れ、乾燥や高温で悪化
- さび病:葉の裏にさび色の胞子が発生する
- 黒穂病:穂が黒い胞子で覆われ、粒が正常に育たない
これらの病害は、特定の条件が重なると一気に広がるため、早期の発見と適切な対策が必須になる。
🛡️ 3. 防除の基本 ― 栽培管理と環境づくり
害虫・病害を防ぐには、薬剤だけに頼るのではなく、畑の環境づくりや栽培管理そのものが重要になる。
- 適切な密植管理:風通しを確保し、湿度を下げる
- 残渣処理:収穫後の茎や葉に病原菌が残らないよう処理する
- 早めの播種:害虫の発生ピークを避ける戦略
- 天敵の利用:寄生蜂など自然の敵を活かす方法
病害や害虫を“寄せつけにくい畑”をつくることが、全体の安定につながる。
🌱 4. 抵抗性品種と輪作 ― 長く育てるための選択肢
病害虫への抵抗性を持つ品種は、現代農業では欠かせない選択肢となっている。特にアワノメイガに強い系統や、病害に耐性を持つ品種は、管理の手間を大きく減らす。
- 抵抗性品種:害虫の被害を軽減し、農薬の使用量を減らせる
- 輪作との併用:異なる作物との交代で病原菌の蓄積を抑える
- 土壌改良:病害に強い環境を整える基礎づくり
遺伝的な強さと畑の管理の両方が、長期的なトウモロコシ栽培の安定につながる。
🌙 詩的一行
穂の奥の小さな影を見つめながら、畑は静かに季節を越えていく。
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