モミジの仲間は、景色として語られることが多い。
だが、その中に、木として使われてきた存在がある。
葉の美しさよりも、
幹の質、硬さ、加工のしやすさ。
人はそこに価値を見出してきた。
それが、イタヤカエデだ。
紅葉の主役ではないが、
暮らしの中で確かな役割を担ってきた。
この章では、
木材として評価されてきたイタヤカエデの性質を見ていく。
【基礎情報】
- 分類:ムクロジ科・カエデ属
- 和名:イタヤカエデ
- 学名:Acer mono
- 分布:日本(北海道〜九州)、東アジア
- 生育環境:山地林、冷涼な地域
- 樹高:15〜20m程度
- 葉:浅い裂片、比較的厚みがある
- 花:春、黄緑色の小花
- 実:翼果、秋に成熟
- 紅葉:黄〜橙が中心
- 見分けポイント:裂片の浅い葉、大型の樹形
🍁 目次
🌳 1. イタヤカエデの位置づけ ― モミジの中の実用樹
イタヤカエデは、
園芸や観賞よりも、
資源としての利用が先行してきたモミジだ。
樹高が高く、幹がまっすぐ伸びる。
この性質が、材としての価値を高めてきた。
モミジ類の中では、
人の手に直接触れる距離が近い存在と言える。
🪵 2. 木材の特徴 ― 硬さと加工性
イタヤカエデの木材は、
緻密で適度な硬さを持つ。
- 性質:割れにくく、狂いが少ない
- 加工:削り・仕上げがしやすい
- 用途:家具、器具、建具など
派手な木目ではないが、
均質で扱いやすい点が評価されてきた。
🏔 3. 生育環境 ― 冷涼地に育つ木
イタヤカエデは、
比較的冷涼な地域でよく育つ。
北海道から本州北部にかけて、
山地林の構成種として見られる。
成長は緩やかだが、
長い時間をかけて太い幹をつくる。
🍂 4. 景観としての控えめさ
イタヤカエデの紅葉は、
黄色や淡い橙が中心だ。
イロハモミジのような鮮やかさはない。
そのため、景観の主役になることは少ない。
だが、
背景としての安定感は高い。
🍁 詩的一行
イタヤカエデは、使われることで、森と人をつないできた。
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