― 北の海の王 ―
📘基本情報
- 分類: スズキ目 サバ科 マグロ属(Thunnus orientalis)
- 英名: Pacific Bluefin Tuna
- 分布: 北太平洋全域。日本海・東北沖・カリフォルニア沖など。産卵は琉球列島〜南西諸島の暖流域。
- 体長: 最大3.0m
- 体重: 最大450kg以上
- 寿命: 約20年(成熟まで5〜6年)
- 食性: イワシ・サバ・サンマ・イカなどの小魚・頭足類を捕食。
- 生息環境: 外洋性の回遊魚。水深50〜500mを広範に移動。
- 漁法: 定置網・延縄・一本釣り・巻網など。完全養殖・蓄養研究も進行。
- 保全状況: IUCNレッドリスト:Vulnerable(危急)。国際的管理対象。
冷たい海を渡り、力強く生きる巨大な魚。
クロマグロは「本マグロ」と呼ばれ、
その名が示す通り、マグロの象徴として知られる。
速度、体力、そして脂の豊かさ――
どれをとっても、他の魚を圧倒する存在だ。
🌱 姿 ― 王の体
体は太く丸みを帯び、背は黒に近い青。
腹は銀白に光り、海中では上下の色差が保護色になる。
硬い尾びれと強靭な筋肉、厚い皮下脂肪。
それらが一体となって、長距離を泳ぐ力を生み出す。
🌿 行動 ― 回遊と産卵
日本近海のクロマグロは春〜夏に南方で産卵し、
成長とともに北の海へ移動する。
津軽海峡・北海道沖では、豊富なベイト(小魚)を追い、
秋に向けて脂を蓄える。
成熟した成魚は再び南へ――
海の季節を往復する壮大な旅を続ける。
🔥 役割 ― 生態系の頂点に立つ魚
クロマグロは外洋の捕食者として食物連鎖の頂点に立つ。
小魚の群れを追い、時にイルカやサメとも餌を競う。
その存在は海のバランスを保つ“調整者”でもある。
もし彼らが消えれば、海の構造そのものが崩れる。
⚓ 人との関わり ― 食と資源の象徴
古くから高級魚として珍重され、
現在では国際的な漁業管理の対象となっている。
過剰漁獲によって一時は激減したが、
近年は完全養殖や資源回復策が進む。
人が“食べる”ことの重さを教えてくれる魚でもある。
🌙 詩的一行
北の潮に漂うその影は、海の記憶を守る王の姿。
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