🦆マガモ7:オナガガモ ― 尾が語る冬鳥の気品|特徴と見分け方

マガモシリーズ

― 冬の空に伸びる、優雅な尾 ―

すらりと伸びた尾、細身の姿、そして上品な灰色の体。
オナガガモはその名の通り「尾の長いカモ」であり、冬の水辺を彩る代表的な冬鳥だ。
その優雅な姿と穏やかな性質から「気品のカモ」とも呼ばれる。
ここでは、オナガガモの特徴・見分け方・分布・行動・鳴き声を図鑑形式で紹介する。


🌾目次


🌱 基礎情報 ― オナガガモという鳥

分類: カモ科マガモ属(Anas acuta)
全長: 約65cm(オスは尾を含めると75cm) 翼開長: 約90cm
分布: 北半球の高緯度地域で繁殖、日本では冬鳥として全国に渡来。
特徴: オスは灰色の体に白い胸、首の白線が頭後部まで伸びる。尾が長い。
食性: 水草・種子・昆虫・貝類など。
繁殖: シベリアなど北方で繁殖、日本では繁殖しない。
鳴き声: オスは「ピィーピィー」、メスは低い「ガァー」。
識別ポイント: 細身の体形・長い尾・首の白線。

オナガガモは名前の通り長い尾をもつ美しい冬鳥で、群れで行動することが多い。
マガモ属の中でも特にスマートな体型で、飛翔姿も優雅。
世界的に広く分布し、日本でも冬の代表的な渡来カモとして知られる。


🌿 特徴と識別ポイント ― 尾と体のバランスが美しい

オスは灰色の体、白い胸、こげ茶の頭部が特徴。
首の白いラインが後頭部まで伸び、尾羽が鋭く長い。
メスは全体的に褐色で、尾も短いがスマートな印象。
他のカモより首が長く、姿勢がまっすぐ。
飛翔時は長い翼と白い腹がよく目立ち、群れの中でもすぐに見分けられる。

✅ 見分けポイント:
・オスの長い尾羽と白い首線。
・体全体がスリムで首が長い。
・飛翔時に翼下面が白く見える。
・マガモよりも落ち着いた印象。


🔥 生態と行動 ― 群れで過ごす穏やかなカモ

オナガガモは潜水をほとんどせず、水面で採餌する「潜らないカモ」。
水草や穀物を主に食べ、時に地上に上がって草をついばむ。
大規模な群れをつくり、他種(マガモやヒドリガモ)と混ざることも多い。
性格は温和で、群れの中でも争いが少ない。
冬には田んぼやため池でも観察できる。


💧 渡りと分布 ― 北の湖から日本へ

オナガガモはシベリアやアラスカなどの北方で繁殖し、冬に日本や中国南部へ渡る。
日本では10月〜翌4月に見られ、全国の湖・河川・干潟で観察可能。
特に関東や九州では群れが大きく、農耕地で採餌する姿も見られる。
春の北帰行ではV字編隊で飛ぶ姿が美しい。


🌊 鳴き声と観察のコツ

オスの鳴き声は「ピィーピィー」と高く澄んだ音。
メスは「ガァー」と低い声で応答する。
朝夕に鳴くことが多く、飛び立つ前に声を合わせるような群れ行動が見られる。
観察する際は、尾の長さと体の細さに注目すると見分けやすい。
晴れた冬の日、逆光に尾を透かすとその名の通りの“長尾”が輝く。


🌙 詩的一行

細き尾に風を受け、冬の陽を切るひとすじの線。


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