― 田んぼのあぜ道を行く親子 ―
梅雨の晴れ間、小さなヒナを連れて泳ぐカルガモの姿は、日本の初夏を告げる風景だ。
マガモの近縁種で、日本では一年中見られる留鳥。
人との距離が近く、都市部の池でも子育てを行う。
ここでは、カルガモの見分け方、行動、生態、繁殖の様子までを詳しく紹介する。
🌾目次
🌱 基礎情報 ― カルガモという鳥
分類: カモ科マガモ属(Anas zonorhyncha)
全長: 約60cm 翼開長: 約90cm
分布: 日本全国に分布する留鳥(北海道〜沖縄まで)。
特徴: 全身が茶褐色の地味な羽色。くちばしの先が黄色い。
食性: 水草・昆虫・貝類・種子などを水面で採餌。
繁殖: 5〜7月。巣は地上の草むらや人家近くの茂み。
鳴き声: 「グェッ」「ガーガー」など。
識別ポイント: くちばし先端の黄色、地味な体色、青紫色の翼鏡。
カルガモはマガモと近縁で、遺伝的にも非常に近い種。
一部地域では交雑も確認されており、アヒルの祖先の一部ともされる。
水面採餌ガモとして日本の湿地環境に適応し、まさに「日本のカモ」を代表する存在だ。
🌿 特徴と識別ポイント ― 地味だけど個性的
カルガモは一見するとメスのマガモに似ているが、いくつかの特徴で見分けられる。
最もわかりやすいのは、くちばしの先端が黄色いこと。
体全体が茶褐色で、羽の縞模様が細かく入り、翼鏡(よくきょう)は青紫色に輝く。
オスとメスの外見差がほとんどなく、季節による羽色変化も少ない。
そのため「地味なカモ」と思われがちだが、識別できるようになると個体差が面白い。
🔥 生態と行動 ― 一年を通して日本で暮らす
カルガモは日本では珍しい「留鳥」のカモ。
一年を通して国内にとどまり、季節ごとに活動場所を変える。
冬は川や池で群れをなし、夏は田んぼや湿地へ移動して繁殖する。
人に慣れやすく、都市部でも見られる。
採餌は主に水面での濾し取りで、潜水はほとんどしない。
行動はマガモに似るが、より穏やかで警戒心が薄い傾向がある。
夜明けや夕方に活発に採餌し、昼は岸辺で休む。
人の生活圏と共存しており、まさに“身近な野生”を体現する鳥だ。
💧 繁殖と子育て ― 親子で泳ぐ理由
カルガモの繁殖期は5〜7月。
草むらや田んぼのあぜ、人工的な花壇など、意外な場所に巣を作る。
メスが約10個の卵を産み、約25日間抱卵。
孵化後、ヒナはすぐに母親に導かれて水辺へ移動する。
親子で泳ぐ姿は有名だが、実は天敵も多く、ヒナの生存率は高くない。
母鳥は鳴き声や羽ばたきでヒナを守り、危険を察知すると静かに水草の陰に隠れる。
🌊 鳴き声と社会性
カルガモの鳴き声は「グェッ」「ガーガー」。
声はマガモより低く、太い音質。
群れでの連絡やヒナの誘導に使われる。
夜間にも鳴くことがあり、都市の夜空に響くこともある。
群れの中では穏やかに過ごすが、繁殖期は縄張り意識が強くなる。
🌙 詩的一行
ヒナを導く背の流れ、その道こそ日本の水辺の記憶。
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